恋人達の悩み 〜Obstacle Girl〜-9
「りゅうっ……」
「…………呼びづらい?」
不意に、龍之介は尋ねる。
「昨日から、『龍之介』じゃなくて『りゅう』って言ってるけど」
美弥は、潤んだ瞳を龍之介へ向けた。
「……や……?」
囁くような声に、龍之介は首を横へ振る。
「ちょっと嬉しいかな」
ちゅっ
「んう……」
「他の誰にも『りゅう』なんて呼ばれないから」
舌を乳首から鎖骨へと上げ、ゆっくりと乳房を揉みほぐしながら龍之介は続けた。
「なんか……『特別』みたい」
「うんっ……」
首を舐められ、美弥は声を出す。
「あっ……」
耳から鎖骨までのラインを何度も往復され、美弥は体をよじった。
「ほんと、首弱いね」
ちゅ、ちゅ、と音を立てて、龍之介は首にキスをする。
「性感帯なんだ?」
耳に近い所で囁かれ、美弥は声を漏らした。
「やぁ……そ、んなの……わから……い……よぉ」
「耳も首も、反応良すぎ……可愛いよ」
くちゅっ
「ふあんっ!!」
首を舐めるのと同時に乳首をつままれ、美弥は高い声を出す。
「っあ……ん」
龍之介の手が下衣にかかると、美弥は腰を浮かせて協力した。
「……濡れてる」
同時には剥ぎ取れなかったショーツの上からも、その部分に染みが出来ているのが分かる。
「本当に、感度良すぎ」
ぬちゅっ……
「ん!」
ショーツの上から敏感な部分をなぞられ、美弥は腰を動かした。
「胸と首だけだよ?」
「りゅう……うまいもん……」
美弥は唇を尖らせる。
「美弥の感度が良すぎるの。僕はさして経験がないんだから」
その唇をついばんでから、龍之介は言った。
――美弥を知るまで龍之介が経験したSEXは恵美との一度だけで、しかもそれはきわめて受動的なものだった。
自慰行為もそれほど回数をこなしている訳でもなく、今までは夢精しないために定期的に抜く程度だったのである。
ただし、その最中の想像だけはぎっちりやっていた。
中途半端な想像は恵美を思い出すだけなので、ヌードグラビアやら官能小説やらの、具体的なイメージに必要なおかずだけは欠かせないのである。
初めて美弥を抱いた時は『恵美のイメージが湧いて出て萎えたらどうしよう?』と内心はびくびくものだったが、全くあれを思い出さないばかりか前戯で一度イク程に気持ち良くしてあげられたので、龍之介はわりあい満足していた。
「ね……」
美弥の囁きに、龍之介は我に返る。
回想していても愛撫はしっかり続いていたので、龍之介自身が驚いた。
「欲しいよ……」
美弥は龍之介の目を覗き込み、そう囁く。
「りゅうが……欲しい」
限界まで海綿体の充血した肉棒へ、さらに血液が流れ込んだ。
「美弥……」
いそいそとモノを取り出した龍之介だが……はたと動きを止める。
コンドームが手元にない。
「いいよ、そのままで……」
「…………ごめん」
部屋まで取りに行こうか迷った龍之介だったが、美弥の言葉に甘えた。
じゅぷ……
「あぅ……!」
心なしかいつもより巨きい気のする淫茎が、美弥の胎内を圧し広げる。
「くふ……っ」
龍之介は、ため息をついた。
やはりゴムなしだとぬめりが直接肉棒に絡み付いて来るので、快楽が増す。
これが危険な快楽だという事は百も承知の上で、龍之介は腰を振り始めた。
ぐちゃっ!びちゃっ、ずちゅう、ぐちゅう!
「やっ……!?」
激しく淫らな水音に、美弥は狼狽する。
「あっ……ひあああっ」
子宮口を亀頭でノックされ、美弥は悲鳴を上げた。
「りゅうっ……凄い、よぉっ!」
自ら腰を振って龍之介へさらなる快楽を与えるのも忘れ、美弥は龍之介にしがみつく。
「気持ち、いいっ……!」
「僕もッ……気持ち、いいよッ!」
美弥の求めるままに、龍之介は激しく腰を振った。
途中で前後運動を撹拌運動に変え、キスや愛撫をする事も忘れない。
そうすると美弥がとても悦ぶのだから、美弥にたくさん気持ち良くなって欲しい龍之介としては外す事のできない行程である。
愛撫で存分に美弥を鳴かせ、龍之介は再び腰を振り始めた。