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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み 〜Obstacle Girl〜-10

「あぁあっ……りゅう、りゅうぅっ……!!」
ぎゅっとしがみついて喘ぐ美弥が、涙が出る程に嬉しい。
もっと気持ち良くなって欲しくて、龍之介は美弥が感じるポイントを丹念に突く。
「イキそ?」
ぬめった襞の絡み付きが複雑さを増し、龍之介を咥え込んで離さないようになって来た。
「うん……イキ、そう……だよおっ……りゅう……あ!!」
美弥の四肢が、不意に突っ張る。
「っくう……!!」
肉棒を猛烈に絞られ、龍之介は声を上げた。
美弥がイッたのである。
「っあ……!!」
何とか美弥の胎内から淫茎を抜き取った直後、白濁液が噴き出した。
美弥のお腹や秘部の辺りに、種が撒き散らされる。
「はぁっ、ああ……」
龍之介は美弥に覆いかぶさり、唇を重ねた。
「ん……んう……」
美弥は龍之介の首に腕を回し、ぎゅっと引き寄せる。
「りゅう……りゅうぅ」
「美弥……」
そっと顔を離し、龍之介は言った。
「そういう可愛い声を出されると、またしたくなるんだけど」
「いいよ、して……慰謝料、でしょ?」
照れ笑いを浮かべる美弥に、龍之介はキスする。
「じゃ、遠慮なく……」


翌日。
「ん……」
目を覚ますのと同時に、美弥は寂しさを感じた。
「あ……そうか。自分ちだっけ」
寂しさを感じた原因は龍之介が隣に……いや、家の中にいないからだと、美弥は気付く。
「……惚れてるなぁ」
苦笑して、美弥は布団から抜け出した。
寝間着のままで洗面所に行き、顔を洗う。
父母はイヴを共に過ごせなかったからと、クリスマスの夜に出掛けて帰って来なかった。
「またお泊りした方が良かったかなぁ……いや、竜彦さんが迷惑よね」
おとといは思いっ切り気を使わせてしまったのだから、再び好意に甘えてはいけない。
――美弥は寝間着姿のままで、簡単に朝食を作った。
「おはよう……」
匂いに惹かれてか、兄の貴之が起きて来る。
「おはよ。食べたければそこにあるわよ」
「……サンキュ」
低血圧気味な貴之は、ぼーっとした様子でキッチンから一人分の朝食を持って来た。
フレンチトーストが二枚にインスタントのスープ、適当に野菜をちぎったサラダにベーコンエッグ。
半分寝ながら、貴之はそれらを平らげる。
その間に美弥は食事を済ませ、新聞(主にチラシとテレビ欄)に目を通した。
「今年の……初詣、どうする?」
食後のコーヒーで八分くらい目の覚めた貴之が、美弥にそう聞いて来る。
「って、お前は彼氏とか……」
「うん。そうなると思う」
特に約束を交わした訳でもないが、龍之介はたぶん行く気のはずだ。
「お兄ちゃんは?」
「……めんどくさいから寝てる」


そして、元旦。


賽銭を投げ込んだ二人は、それぞれに願い事をした。
『今年も……ううん。ずっと、龍之介と一緒にいられますように』
『何があっても、美弥を失わずにいられますように』
言葉は違えど、願う事は同じ。
――初詣が済むと、二人はそこかしこで振る舞われている甘酒を飲んで体を温めた。
「………………あれ?龍之介、背ぇ伸びた?」
焚火を囲んで甘酒を飲みながら、美弥はそれに気付いて声を出す。
龍之介の背丈は高く見積もっても百六十二〜三といった所で、百五十八センチの美弥とあまり変わらなかった。
だからわざわざ顔を上げなくても目を捉らえられたはずなのだが、今は目線を少し上にやらなければ目を合わせる事ができないのである。
「ああ……うん、ここ最近ね。うちの家系は、成長期が来るのが人より遅いみたいなんだ」
「へえ……どのくらい伸びた?」
「十二月に入ってから、二センチは伸びたかな」
「そんなに!?」
「伸びたよ。夜中に骨が成長して、ミシミシ音がするの。兄さんも、十七過ぎてからめきめき背が伸びたって言ってたし」
「は〜……」
ため息混じりの声を出してから、美弥は不安に襲われた。
龍之介は勉強ができる方だし、運動はそれより得意である。
嫌みなく整った涼しげな顔立ちに性格の良さが加わって、人望も厚い。
人気があっても色恋沙汰の浮いた噂がいっこうになかったのは、おそらくは当人の身長の低さに一因があったのだろう。
だが今、成長期によってその弱点が覆ろうとしているのだ。


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