堕天使と殺人鬼--第4話---5
結局その後、遼から何があったのか聞き出すことは出来なかった。何度も首を振りながら同じことを繰り返す彼を見ていたら、みんなもう何も言えなかったのだ。
愁も怒る気を無くしてしまったのか、あの後は静かなものだった。むしろ様子がおかしい親友を気遣って、彼の家まで付き添って帰った。
晴弥は何がどうしたのか全く分からず困惑していたが、考えても解決することは、やはり出来なかった。
同時期に、一夜もゆかりを見放した。そして驚いたことに、ゆかりに暴力を振るったあの、女子不良グループの永田玲奈となんと、付き合い始めたのだ。本当に唖然としてしまうような出来事だった。
遼や一夜の様子から、ゆかりに対して多少なりとも不信感を抱いてしまった晴弥たちが彼女から離れるのは、自然な成り行きだった。良心を痛めながらも、そうせざるを得なかったのだ。ゆかりに好意を抱いている愁はそれからも変わらずに接していたが、晴弥たちは用事がない限り言葉を交わすことすらしなかった。
このようにして、美吹ゆかりは今の立場に立たされたのだった。
【残り】--三十八名--