きみのとなりへG-1
彼を好きだという気持ちが確信に変わる
『きみのとなりへ』
〜沙癒side〜
9月27日(月) 21時半
今日は一平くん達とカラオケに行って、それから私の家でみんなで夕飯を食べた。
そして今、薫ちゃんと明後日までの課題をやっている。
「沙癒って、一平くんが好きと?」
「えぇ?!」
薫ちゃんが突然話し出した。
「な、なん?突然。」
「いや〜、そういえばちゃんと聞いてなかったなと思ったとよ。」
そういえば、私は一平くんの事を「好きだ」とは言ったことがなかった。でも多分…
「多分…」
「多分?!」
「一緒にいると楽しいし、ドキドキするし、メールが来たら嬉しくてたまらんけど…」
「けど?」
正直、きちんと好きかどうかとか考えたことがなかった。
「考えすぎなくていいんじゃない?」
薫ちゃんの言葉にハッとした。
「ふふ〜ん、図星やろ!」
「…」
当てられて悔しくてそっぽ向いていると
「そんな難しいことじゃないよ〜、会えて嬉しいかとか、笑顔を見て愛しく思うかとか。そんなんでいいとよ。」
「…じゃあ、私一平くんが好きやん。」
すると薫ちゃんはニッコリ笑って、うんうんと頷いた。
「じゃあさ、どこが好きと?」
どこが…?
一緒に遊んだりするようになって、まだ一週間もたってない。すごく惹かれるんだけど、どこがって…難しい。
今日は水曜日。
いつものように薫ちゃんと、一平くん達のライブを見に行く。
いつ聞いてもいい曲。温かい歌詞。
私が初めて彼らの曲を聞いた日、それは夏休みに入ったばかりの、バイトに行きたくない日だった。
前回のバイトの時に、ちょっとした勘違いから店長に怒られて、すっごく落ち込んでて、もうバイト辞めちゃいたいって、もう今日行きたくないって思っていた、そんな日だった。