きみのとなりへG-3
バイトが終わって携帯を見ると、一平くんからメールが来ていた。
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バイトお疲れ様☆
僕は今まで誠二と反省会だったよ!
よかったら途中まで一緒に帰らん?
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急いで“帰る!”ってメールをして、コンビニを出た。外に一平くんがいた。
「お疲れ様!」
彼の笑顔がバイトの疲れなんて吹っ飛ばした。
一緒に帰りながら、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「一平くんは、進学しないの?」
すると、苦笑いしながら
「一応ね、受験勉強はしてはいるんよね。けど、どうしても本気になれんっちゃん。僕の将来の夢はやっぱり、歌を歌ってくことやけんさ。」
「親は納得しとうと?」
「格闘中。やっぱり大学には行ってほしいって。」
「なるほどね〜。」
「一応、ストリートライブやることは認めてもらってんだ。」
「そうなん!よく許してくれたね〜。」
「アハハ!ダメなら学校やめるって言ったけんね〜。渋々。」
「うわぉ、なかなかやるね〜!」
「でも、それ位大事なもんなんよね〜。」
まっすぐに前を見据えて言う彼の姿に、思わず見とれてしまった。
「?どしたん?」
「んっ?!んにゃ、なんでもないよ!」
「焦ってますな〜。」
「焦ってない!」
クスクス笑う一平くん。
ダメだぁ〜、自覚してから、必要以上に意識しちゃう!
「沙癒ちゃんって不思議。」
「へ?!なんで??」
「なんか、ね!」
「なんそれ〜?」
「あ、着いたよ。」
見ると私ん家の前。
「またね!」
ニッコリ笑う一平くん。
誤魔化されてしまった。でも、ま、いっか。
「うん、ありがとうね!またね!」
私はなんだかホンワカした気持ちで、エレベーターに向かった。
振り向くと、一平くんはこっちを見てた。そしてもう一度
「またね!」
と言って手を振った。
その姿を見て改めて確信した。
私、やっぱり一平くんがすっごく好き。大好き!
【つづく】