きみのとなりへF-1
きみの悲しげな笑顔が、僕を捉えて離さない
『きみのとなりへ』
〜一平side〜
あれから、何度もメールで謝ろうと思ったけど、謝るのも何かおかしい気がするし、なんてメールしていいかわからなくて、結局なにも送れないまま、次の日がきた。
「一平〜、着替えるぞ!」
「…へ?」
「次、体育!」
「ん、あぁ。」
「どうしたんだよ、ボーッとして。そんなんじゃ、愛しの沙癒ちゃんに嫌われますわよっ。」
「…。」
「おいおい、どーした?いつもなら、「誠二キモイ!」、とか言うのに。…………なんかあったんか?」
「…………実はさ、…。」
僕は、昨日あったことを誠二に話した。
「ぶぁっかで〜!」
「んなっ!」
「やだやだ、男の嫉妬は醜いぜ〜。」
「わかってるよ!」
「んで?どうすんの?」
「どうするって…。」
「どうしたいんだよ!」
「……仲直りしたい。」
「よぅし!しょうがね〜な〜!俺が一肌脱いで差し上げようっ!」
「へ?どうすんの?」
「まぁまぁ、俺に任しとけって!」
その後、誠二は鼻歌を歌いながらメールを打ち始めた。
どうするんだろう?
放課後
今日も練習だ。
でも…気乗りしない…。
「一平〜!今日の練習、マイク練にしようぜ!」
「マイク練?」
「そ、マイク練inカラオケ〜!」
「…カラオケ行くってこと?」
「そゆこと〜!」
僕は誠二に連れられてカラオケに行った。すると、
「遅いぞ〜!」
沙癒ちゃんと薫ちゃんがいた。…誠二、そういうことか。
「ごめんごめん!一平の足が短くてさ〜。」
「アハハ!なんだそりゃ!まぁいいや。とにかく中入ろ〜!」
誠二と薫ちゃんが受付で部屋を取ってくれてたので、僕は沙癒ちゃんに話しかけた。
「あの、この前はなんかごめんね。」
すると沙癒ちゃんはキョトンとして、それからにっこり笑った。
「ううん、あれは先輩が悪いよ!一平くんが嫌な気持ちになるのも当然だと思うし。」
よかった、沙癒ちゃんが笑顔だ。
嬉しくなって、僕は調子に乗ってしまった。