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キズ
【純愛 恋愛小説】

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キズ-1

〜ありふれた日常〜
県立藤空高校 3年2組 高見 有栖(たかみ アリス)

私の通う高校には、不思議な人物がいる。それは村尾 詩音(むらお シオン)と言う妙に女くさい名前の男子生徒だ。パッとみはそこそこ身長もありスタイルも良いんだけど何が不思議と言うと、何時も前髪を目の辺りまで持ってきて目を完全に隠しておりこっちを見ているのかいないのかイマイチ掴めない男子生徒だ。それに何時も何が楽しいのか本をばかり読んでいる。今もきっと本を読んでいるんだろう。本を読むのが悪いって訳じゃないんだけど。
(まったく、何がそんなに良いのかね〜、本なんて根暗に見えて誰も寄って来ないって) と私はついついそんな事を考えてしまう。今は休み時間で、高校生である私達にとって休み時間というのは一番楽しい時間だ。私の周りにはいつも友人達がいる。雑談をしていると休み時間終了の鐘の音が響いた。
「よーし、全員座れ〜」
と鐘の音と同時に先生が入って来たものだから皆慌てて自分の席に座る。
「えー、今日は…………………」
早速つまらない授業が始まってしまった。黒板に書きだしたことだし私もノートを真面目に取りはじめた方が良いかもしれない。つまんない授業も終わる近くになって皆やっと終わるーと思っていたら。先生が、
「あー、そこの席の……村尾君起きてるかい?」
突然話をふられて村尾は頭を縦に二回下ろした。
「あー、ゴメンゴメン寝てるかと思ったよ。う〜ん、丁度良いから授業も終わろうか。」と先生が気分で授業終了の10分前に終わってしまった。そのまま何事も無くHRも終わって学校を出て歩いていると後ろから声をかけられた。
「ねぇ、彼女今ヒマ〜?ヒマだったら俺達と遊び行かない?」 はぁ〜、ナンパかぁ〜。どうやって断ろうかな?誰か知り合いの男子来てくんないかな〜。何て考えていたら何と本当に来てしまった。それも知ってるって言うかクラスメイトだし。
(よし!!あの子にでも待ち合わせをしてるようにしてこの人達から逃げよう。)
「あ、ご免なさい。待ち合わせをしてた相手が来たから。ご免なさい。」
ナンパの二人は諦めてくれたようだけど、私は声をかけようか迷ったが今声かけないと絶対怪しまれちゃうしなぁ〜。えーい、どうにでもなれ。
「おーい、村尾君こっちだよ」
そう丁度良いことに来てくれたクラスメイトと言うのはあの村尾 詩音なのだ。
「?」
あーやっぱ本人分かってないや。気にせずに手を降りながら近付いて行く。
「もう、君が遅かったから遊びに誘われちゃったじゃない」
「??」
「ねぇ、今日は何処行こうか?」
何だかんだでナンパの二人をやりすごして見てなくなった所で、
「ゴメン、ありがとう。急にあんなのに誘われて断る方法が思いつかなかったから、ついつい君を彼氏役にしちゃた」
「はぁ、そう言うことですか」
初めて彼の声聞いちゃた!!
「てか、何で敬語なの?」
「普通だと思いますけどね」
「また、敬語だ。まぁ良いや。とにかく助かったよ、ありがとう♪」
私がお礼を言っただけで頬を赤くしているなんて、可愛いなぁ。
「まぁ、気を付けるんですね。アナタが思ってる以上に意外と君は美人なんですから」
う〜ん、君とかアナタとか言われてるけど私の名前知ってるのかな?


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