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ご主人様のため・・・
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ご主人様のため・・・〜私の好きな人は〜-1

結衣から亜希へと戻ることが出来た。しかし、素直に喜ぶことができない。
なぜなら、翔太のことが気になるからだ・・・。


朝・・・−−−−

亜希が洗面所で顔を洗っていると麻弥がやってきた。
「結衣ちゃん、大丈夫?顔色悪いわよ?」
「そっそんなことないですよ!!」
「でも昨日あんなことあったし・・・夜もどこかへ出掛けてたでしょ?」
「大丈夫ですよ!ありがとうございます。」
『・・・お姉ちゃんに似てるなぁ』
亜希の姉、亜由は普段はお調子者でおしゃべりなのだが、風邪をひいたり、何かに悩んでる時には、いち早く気付いて心配してくれる優しい姉であった。
『お姉ちゃん・・亜哉兄・・亜雄兄・・お父さん・・お母さん・・』
気付けば、頬を水ではない、温かいものが伝っていた。
ギュッ
「???」
「よしよしっ!!何に悩んでるかわかんないけど、昨日みたいに一緒にいてあげるから、大丈夫だよ!」
麻弥が優しく亜希を抱きしめる。
「麻弥さん・・・ありがとうございます・・」

そこを切ない目で見つめる翔太。
『あんなに傷付けて・・・何がしたいんだ・・・俺は』
翔太自身にもわからない複雑な思いがあった。
しかし、結衣の口から思わぬ言葉が……
「麻弥さん……私、思い出しちゃったの……家族のことも友達のことも……りょうちゃんのことも全部。」
「えっ?!」
突然の告白に普通にしていても大きな瞳をさらに大きく見開いて、麻弥は大きな驚きの声をあげた。
「私、記憶がなくて気付いたらここにいたんです。」
そんなことは結衣が来た時に翔太に聞いたので知っている。
麻弥が驚いたのは思い出したという点だ。
『まさか……こんなに早く記憶が戻るなんて……』
影でこっそり会話を聞いていた翔太も驚きを隠せない。
「昨日の夜、幼なじみで恋人のりょうちゃんと海であったんです。その時は、戻らなかったんですけど、部屋に戻って考えていたらパッって思い出して……」
「なんで飛び出していかなかったの?普通、追い掛けるものじゃない?」
「そうですよね……普通は……。でも私がいなくなったら、翔太さんはどうなるのかなって気になっちゃって・・・。」
「それって好きってこと?」
「………」
「違う……亜希、それは違うんじゃないか?」
「!!!!」
「翔太様!!!」
ようやく、隠れていた翔太が姿を見せた。
「違うだろ?亜希の好きな人は俺じゃない。深谷良平だろ?!わかってた。でも亜希のことがすごく好きだった。どんな手を使ってでも手に入れたくて……誘拐までした。でも亜希をそのまま連れ去っても、深谷を求めて泣くだろう?絶対俺には心を開いてくれないだろう。だから記憶まで無くして………。
でもそれでも駄目だった。亜希の気持ちより、自分の欲を優先してしまった………俺の負けだよ。本当に好きなら、その人のことを一番に考えなきゃいけないんだよな。」
「………ありがとう。」
「お礼言われるようなことしてないよ。俺の方こそありがとう。」
「………でも私、りょうちゃんの所には戻れない………戻っちゃいけないんだよ……。」
「なんでだよ?!深谷はあんなに亜希のことが好きで………」
「だから。たとえ記憶がなかったとはいえ、私はりょうちゃんを裏切ったの!!それを聞いたら、りょうちゃんすごく傷付いちゃう。傷付けたくない。戻れるわけないよ………。」
「………」
責任を感じて、翔太はそれ以上なにも言うことが出来なかった。


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