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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-28

「あーあ。なんだか面倒くせえことになったな。」
ベッドに横たわりながらぼやくヴェイル。
「あの素敵な性格、素敵すぎてひっぱたきたくなってくるよ」
それを聞いてフォルツが作り笑いをしながら言う。
「仕方ないさ。それにここからシーラ城まで三日もあれば着く。
あと三日の辛抱だろ」
アルスは文句を言う二人をなだめた。

一方ルナ達の部屋。

「ねえ、あなたあの中に気になる人でもいる?」
ファラが不意にルナに問い掛けた。
「きになるひと?」
不思議そうに尋ねるルナ。
「好きな人って意味よ!」
「・・・好きと聞かれたら、私は3人とも好きです。」
「そうじゃなくて、特別にというか、愛してるというか」
「すみません。・・・・・私にはそういう感情・・・・・わかりません」
「まったく、つまらない子ね。」
「ファラ様はいらっしゃるんですか?」
「うーん。あの三人は所詮パンピーだから。
でもあの中で一番まともなのはアルスね、顔もイケてるしクールだしそれに私を助けてくれたしね。90点ってところね」

「へくしゅん!!」
隣の部屋でアルスがくしゃみをした。
「ヴェイルも中々イケてるけどちょっと軽そうね80点てところかしら」

「いっきし!!」
ヴェイルも隣の部屋でくしゃみをした。
「問題はあの黒髪の魔導士ね。あいつはヒョロッちいし頼りないし、女に対してキレたり説教たれる時点で最低ね。35点!」

「うおらー!!」
隣の部屋で突然大声を上げるフォルツ。
「どうしたフォルツ?」
「わからない、なんでか解らないけど突然怒りが込み上げてきた!」


「ん?ちょっとこの子寝てるわ。そんなに私の話は退屈かしら!失礼ね!!」

翌朝。

五人はルアルの町を出発した。
再び五人は道を歩く。
そしてルアルの町から出て数時間程歩いた所でファラが座り込む。
「もーう限界!」
ファラが叫び出した。
四人は「やっぱりな」と言う顔でファラを見る。
「どうなさったんですかー?」
フォルツはうんざりした顔で尋ねた。
「もう疲れた! 歩けない!!」
「はあ?じゃあ、あんた城からルアルの町付近までどうやって行ったんだよ?」
「もちろん馬車よ!だから帰りも馬車に乗る!」
「あのなあ、あんたが金を持ってればそれでいいけど文無しだろうが!タクシー(馬車)なんて使ったら5人で10Gは行くぞ!」
「やだーもう疲れたの!」
子どもの様に駄々をこねるファラにフォルツの怒りがまたもや込み上げてきたようだ。
「だーかーらー金が無いんだからしかたないでしょうが!大体こんな少しの距離歩ったくらいで根を上げてどうするんですか?
みんなの迷惑も少しは考えてくださいよ!!」

「皆の迷惑も・・・か」
アルスがぼそっとつぶやく。


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