「本気の恋。はじめました。(上)」-7
「まだわからないよ。遊んでからじゃないと…」
「じゃあいつ遊んでくれる?」
「それはだから辞めてから…」
「本当は会う気ないでしょ?」
核心をつかれる。
どうしよう…真剣な人をあしらうには、私は経験が浅すぎた…
「それは…」
「もう指名はしないよ。所詮キャバ嬢に弄ばれたんだね。毎日来たら遊ぶって最初は言ってたのに。」
確かに最初、指名を取るのを必死でそんな事を言ったかもしれない…
「そんな事言わないでよナツくんはいい人だと思うよ」
「じゃあ付き合って?」
「それは…」
「さよなら」
ナツくんはレジへと向かう…私はそれを止めれなかった。
なんで今日いっぺんに…
また落ち込む。
次の日からナツくんは当て付けの様に違う子を指名していた。
「美鈴ちゃんどうしたの〜?ふられた〜?」
わざとらしく聞く女、あかねだ。
この店の女の子はみんないい子だが、こいつだけは気に食わない。
「喧嘩しちゃったの〜」
軽く流す。
「美鈴さんご指名です」
呼ばれるとあかねは軽く舌打ちする。
ざまーみろ!
「田中さん久しぶり〜」
こうして今日も夜は更けていった…
「あ〜疲れたぁ」
家に帰るなりベットに横になる。
すぐ寝てしまいそうだ…
ぷるるるっ
「だれ〜?」
知らない番号だ…
出るか迷ったけど、眠りを妨げられたんだ…出るか。
「はぁい誰?」
「美鈴…?ファイブの山下だけど。」
は?
なんだって?
「なんで?番号…」
「名簿からぱくった。」
いや、ダメだろそれは。
「どうしたんですか?」
「えーっと…美鈴さんは彼氏いますか?」
なんだ?この会話…
「いっいません…最近修羅場ったばかりです。」
「あははっだな!」
「はい」
「えーと……」
胸がバクバクする。
「好き…になりました。」「え?だって私キャバ嬢ですよ?」
「知ってるよ」
意味がわからない…
矛盾している。
でも私の心臓は明らかにナツくんの時とは違う、
早い鼓動音を鳴らしていたのだ…
つづく☆