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蜘蛛〜Spider〜
【推理 推理小説】

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蜘蛛〜Spider〜
蜘蛛の巣(中編)
-1

 1階のエレベーター前についた雲形は、じっとエレベーターを見つめていた。

「雲形……何かあるのか?」

 原田がそう話し掛けると、ゆっくりと雲形は口を開いた。

「今からこのエレベーターを使用禁止にしてくれないっすか?」

「別に構わないが何かあるのか?」

「はい。やっぱし、俺の予想は当たってました。犯人は証拠を残してたんすよ」

「ん?このエレベーターにか?」

「はい。ここについてるセロハンテープがそれを物語ってるっす」

「セロハンテープが?どういうことだ?」

「わらないんすか?簡単にいうと犯人はここに貼紙をして、被害者を非常階段に誘き寄せたんす」


「貼紙?」

「はい。只今エレベーターは使用できませんってな貼紙を」

「そうか!それで被害者は非常階段を使ったわけか。でも、そうだとして証拠が残るのか?」

「原田さん、一体俺と何件の事件を解決してきたんすか?ってか本当に俺の上司なのか疑問もちますよ。」

 雲形にそう言われ、かなりイラついた原田ではあったが、反撃する言葉が見つからず、さっきから話を聞いてる、松下に話題を降るしかなかった。

「松下!お前はわかるか?」

松下は急に話をふられ戸惑ったが、自分の思った通りに話すことにした。

「僕ですか?たぶんなんですが、そのセロハンテープに指紋がついてるんじゃないかと……」

 その言葉に雲形は満面の笑みで答えた。

「正解!いやー松下君、原田さんより、百倍役に立つよ。」

 原田は、たまたまだと言い返したかったがその暇も与えず雲形は話を続けた。

「いいすっか、犯人は、ここに貼紙をして、非常階段に被害者を誘った。そして、この貼紙は、犯人がはったんすよ。となるとセロハンテープをはった際に指紋が残るというわけっす。犯人も指紋が残らないようにしたんでしょうが、手袋何てはめてたら、テープは上手く貼れないですらね。だから、上手く紙をはがすしかなかった。でも焦ってて残してしまった。ってなわけっすよ」

「なるほど……もしテープがなかったらどうするんだ?」

「そしたら、エレベーターの指紋を取ればいい。セロハンテープを剥がすときに爪使うしかないっすから」

「そうか。んで犯人の名前は?」

「わかるわけないじゃないっすか。犯人の名前なんて。でも、犯人は被害者とかかわりがある奴っすよ。計画的犯行っすからね。まぁ、後はよろしくお願いします。俺は帰るんで。じゃ!」


「帰るってどこいくんだ?」

「彼女のとこっす。俺は今日休みだったんすよ。これ以上働く義理もないっすから。説教なら後で聞きますから。じゃあ、失礼しまーす。」

そういいながら雲形は現場から去っていった。


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