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蜘蛛〜Spider〜
【推理 推理小説】

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蜘蛛〜Spider〜
蜘蛛の巣(後編)
-2

「はい。あの警察全体がもっとも苦労した事件ですよね?」

「そうだ。結局、解決はしたんだがな……」

 原田の言葉にさらにその事件について松下は思い出す。


「確か、凄腕の刑事が解決したって……」

「そうだ。犯人を射殺してな……」

松下は、もしやと思い、原田に問いかけた。

「じゃあ、雲形さんてその刑事の……」

松下の言葉を遮るように、原田は答えた。

「いや、犯人のほうだ」

その言葉に驚いた松下は、さらに詳しく聞こうとしたが、聞く事はできなかった。取り調べ室にいる雲形が大声を上げたのだ。

「お前、ふざけるなよ!そんなんで、人殺ししてもいいと思ってんのか?」

 普段の話し方とは異なり、強い口調で言う雲形であったが犯人は全く動じないようであった。

その態度にさらに怒りを覚え、犯人に突っかかろうとしたが、大声を聞き取り調べ室に駆け込んだ原田によって止められた。

「落ちつけ雲形!」

「無理っす。こいつふられただけで殺したんすよ」

「だからって突っかかるな」

原田に落ちつくように言われた雲形であったが、落ちつく様子がなかったので原田は、雲形を部屋の外へと出した。

雲形は、無言のまま取り調べ室を後にしそのまま外へと出ていってしまった。



雲形が出てからしばらくして原田が取り調べ室からでてきた。

出てきた原田を大丈夫かといわんばかりの目で見る松下に対し原田は、特に変わりもなく答えた。

「いつものことさ。いざ取り調べとなると駄目なんだ。犯人を絶対逃がさない事からspiderと呼ばれるあいつの弱点だ」

松下はspiderに対しては質問をしなかった。雲形ならば呼ばれるだろうと思ったからである。

先ほどの話の続きをしようと思い松下は原田に話しかけようとしたが、その瞬間に雲形が帰ってきた。

「うぃーす」

「少しは頭冷やしたか?」

「うぃっす。いつもいつももうしわけないっす。まぁ、原田さんはいつも俺に迷惑かけてるからお互い様っすね」


いつもとかわらない雲形にほっとした松下は、原田に詳しく雲形について聞きたいと思ったがまたの機会にしようとおもった。この先、雲形と長く仕事をするうちにわかっていくと思ったからであった。


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