きっと、そうー保健室-1
「これこっちー?」
「手伝って!!」
そんな声が飛びかう今日。体育祭前日準備。
「よい・・・しょ。」
癒芽は、テントの支柱を運ぼうと持ち上げた。
・・・・・結構重い。
だが、倉庫からグランドはそれほど遠くない。
「大丈夫、大丈夫。」
自分に言い聞かせるように、支柱を持ちなおした。
本当は、仕事が予想以上に多くてちゃんと休憩できていない。
先程から少し頭痛もする。
あと少しだから、と歩きだした。
テントを立てる場所が見えてくる。
すると、急に腕にかかっていた重さがなくなった。
目の前には悠哉。
支柱を軽々と片手で持っている。
「重いだろ。頼めばいいのに。」
苦笑いをしながら設置する場所へと進んで行く。
「ありがとう。」
癒芽は後ろから小さい声でいった。
「どういたしまして。」
そう言って振り返った悠哉は、満面の笑みで・・・・・思わず見とれてしまった。
悠哉の背後から照らす太陽。
悠哉が後ろからスポットライトを浴びているような感じ。
まるで、悠哉のこの笑顔が私だけのものみたいな感覚に陥る。
違うのに・・・・・悠哉はよく笑う。
みんなに優しい。
この優しさは、私だけのものじゃないのに。
嫉妬。
付き合っているわけではない。
ただ私の片思い。
けれど、なにも知らない悠哉が他の人に笑いかけているのを見るとむかつくの。
自分勝手。そんなことわかってる。
私だけのものにしたいのに。