初雪 〜美しい人続編〜-1
俺は相変わらず君に恋をしていた。
そして君も恋をしていた。
ねぇ、君はどうしてあいつが好きなの?
* * * * * * *
生徒会長。
成績は常に学年で五番以内。
スポーツ万能。
おまけに顔もまぁまぁだ。
なんだよ。
やっぱり君もこういう奴が好きなんだな。
恋の始まりなんていつだって呆れるくらい単純だ。
中原中也を読んでいたから?
好きな映画が一緒だったから?
君に優しく笑いかけたから?
『普通』過ぎるよ。
でも、どんなに嫌悪していたって君が本当は『普通』になりたいんだってことが俺にはわかっていた。
だって、たった一度の人生なんだ。
キレイごとで誤魔化したって、障害なんかない方がいいに決まってる。
そう、『普通』の恋。
副会長の君が生徒会長のあいつに惚れてる。
君の嫌いな少女漫画のお約束の展開だ。
でも……
恋をした君は前にも増して美しかった。
悲しいくらいに……。
そして、
俺はいつでも君を見ていた。
君だけを見ていたんだ。