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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-48

「もう一つの問題も玉砕しないように気をつけて下さいね。それと、私もここで貴女に負ける気はさらさらないですから」
美弥がいたずらっ子のような笑みを見せると香織はムッとした表情を見せたのだが、ふと視界に入ったケイの姿を見てすぐに落ち着きを取り戻しすました顔をしたのだった。
ケイの姿を見つめる香織は昨日の音楽準備室を出た後のことを思い出していた。
 
昨日、美弥から言われた言葉を考えていた香織はとにかく自分が思った通りにしようと考え、音楽準備室を出ると最初に幸司を探し始めた。
幸司は意外とすぐに見つかった。
香織は幸司の腕を掴むと有無を言わさず強引に最初にいた音楽準備室に彼を引っ張った。
「ねえ、中嶋。単刀直入に聞くけど、あんたケイの携帯の番号知ってる?」
「はあ!? 知ってる訳ないじゃん。逆に俺は彼女の番号でもメルアドでもいいから知りたいくらいだぜ」
幸司の表情や態度を見る限り嘘はついてないようだった。
「……そっか。ならいいんだ…まあ、ケイがあんたに携帯の番号を教えることは絶対ないと思うけどね」
「んなっ! なかなかの毒舌じゃねーかよ。チックショ、今に見てろよ」
苦笑いをしながら「用事がそれだけなら戻るぞ」と幸司は言い、音楽準備室から出ようとしたところ香織は幸司を呼び止めた。
今日、学園祭を休んでいる圭介のことを思い出し幸司から様子を聞こうと思ったのだ。
「ねえ中嶋、相沢の具合どうだか知ってる?」
「ああ? 圭介だったらさっき具合を確認しようとして電話したらでなかったなぁ。ひょっとして寝てるのかな?」
幸司の言葉に引っかかるものを感じつつ、香織は幸司に圭介の携帯の番号を教えてもらうと素直に礼を言った。
「ふ〜ん…朱鷺塚が圭介の携帯の番号を聞くなんてねえ。まっ、これ以上何か言うと俺の身がヤバそうだからこれで退散するわ」
ニヤケ顔の幸司は手をひらひらと振りながら今度こそ音楽準備室を出ていくのだった。
そして一人、音楽準備室に残った香織は幸司から貰った圭介の携帯の番号が書かれた紙をただじっと見つめていた。
 
それから今日の今現在に至まで香織は思うところがあり、圭介の携帯に電話をしていなかった。
 
「…………の結果、勝者は2‐Aです!」
香織が物思いに耽っているうちに安奈の発表が終わっていた。
それと同時にケイが香織に握手を求めてきた。
「…香織ちゃん、おめでとう」
「……うん…ありがとう、ケイ」
香織はケイの手を握り握手をすると神妙そうな顔から一変して満面の笑顔になり、握ったケイの手をブンブン振ると次は思いきり抱きついた。
「やったぁ! やっぱりケイの力は絶大だったわ」
「ちょ、ちょっと香織ちゃんってば!?」
香織のいきなりの行動にケイは慌てふためいたのだった。
まあ、ケイについて怪しいところや聞きたいことがあるんだけど、今は素直にこの状況を楽しもう。
ケイに抱きつきながら香織はそんなことを思うのだった。
一方、喜び合う2‐Aを苦虫を噛み締めたような顔で見ていた美弥は、ため息をつくと千晶達クラスメイトの方に振り向き頭を下げたのだ。
「…みんな、ごめんなさい……私がいながらあんな…お笑い集団に負けるなんて…」
美弥が頭を下げたことでみんなには表情はわからないが、かすかに震えている声が彼女の悔しさを物語っていた。
「ま、しょーがないわよ。向こうにはケイがいたんだし」
こう語りウインクをしたのは同じステージで共演したクラスの女の子の一人である。
「藤崎さん……私達こそ足を引っ張っちゃってごめんなさい」
千晶が申し訳なさそうに言うと、美弥は顔を上げると笑顔で切り返す。
瞬時に表情を一変させる早業は流石にプロである。


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