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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-39

「みんなー! 今日のメンバーは初めてのステージだしすごく緊張してるけどミスしちゃっても許してね。今日までいっぱいがんばってきたから応援よろしくーっ!!」
美弥がステージの上から満面の笑顔で客席に向けて言うと、その言葉に同調した男達の声援が更に盛り上がったのだった。
そして、美弥がその状況を確認するとメンバー達の方に顔を向け真面目な表情をした。
「みんな今日の為にたくさんレッスンしてきたんだからがんばろうね。今、目の前にいるお客さんなんて喋るカボチャくらいに思っておきなさい」
そう言いながら美弥は軽くウインクをするといたずらっ子のような笑顔を見せた。
もうそこにはいつも学園でツンケンしている美弥はおらず、一人のアイドル『藤崎美弥』がいたのだった。
美弥の普段見せない可愛らしい態度に千晶達は思わず見入ってしまった。
この状況でその仕種が自然と出せる美弥を流石プロであるということを認識させられた瞬間だった。

「なんかすごく盛り上がってるわね」
ケイが美弥達のステージを見ながら感心する様に呟くと香織は不敵な笑みを浮かべ強気な発言をする。
「まあ、これくらいはしてもらわないと張り合いがないしいいんじゃない。でも、ケイだって負けてないわよ。なんたってケイ一人でここにいる女性客を全部魅了できるんだからね」
香織がそう言いながらケイに抱き着くと横で見ていた未歩が「香織ずるーい!」と叫びながら楽しそうな顔で香織の反対側からケイに抱き着いた。
そしてじゃれ合う三人を見ていた幸司がいやらしい笑顔で一人悶えているのだった。
「おおっ、これは噂に聞く秘密の花園状態かぁ!? 女の子三人が抱き合いながらいちゃつく光景ってのも中々エロくていいなぁ」
「中嶋、君の頭の中は腐ってるようだな」
あまりクラス以外の人間には見せたくない幸司の醜態を加奈子が冷めた目で見ながらため息混じりの言葉を幸司に言い放った。
 
「へぇ、あいつがんばってるじゃん」
観客席の外れからステージを見ていた竜二が嬉しそうにぽつりと呟いた。
竜二の視線の先にいるのは千晶だった。
まだ緊張しているせいか動きに若干のぎこちなさはあるものの、みんなの動きに必死に合わせようとする姿は日頃の彼女の運動神経を考えると頑張っている方なのである。
まるで千晶の兄の様な感覚でステージを見ていた竜二だったが、観客席の近くにいたせいかステージに立っている2‐Cの女の子達の評価の声が耳に入ってきたのだった。
「まあ、美弥ちゃんの可愛さは当然として他の四人の子達はちょっと落ちるかなぁ。あれじゃ、完全に美弥ちゃんの引き立て役だよ」
「あ、でも、あの娘いい感じじゃね? ほら、美弥ちゃんの隣にいる子」
観客席の男子生徒達が何やら話しているみたいだったがどうやら千晶のことだったのだ。
竜二はステージを見ながら観客席の声に耳を傾けると千晶の評価は思ったより好印象なものだった。
しかし、千晶の事をみんなが認めてくれて嬉しく思う反面、何か釈然としない感情が竜二の心の片隅に燻っていた。
竜二本人は気付いていないがやきもちである。
少しだけ不愉快そうな表情をして観客席の声を聞くのをやめた竜二はステージで歌う千晶の姿と歌声に集中するのだった。
2‐Cのライブは大いに盛り上がって終了した。
「はいはい、みんなお疲れさま〜」
安奈が舞台袖に戻って来た2‐Cのメンバーを労うとそのままステージに向かい2‐Aが準備をしている間の繋ぎとして、今回のライブの主旨と裏話を観客に話し始めた。
そんなことがあるうちにステージの準備も完了してケイ達2‐Aのライブメンバーがステージに上がると先程とは逆に女の子達の歓声が上がった。
あまりの歓声に驚くケイだったが、観客席に目を向けると更に驚かされた。
観客席最前列に智香と母さん、おまけに奈津ねぇまでいるじゃないか!?
なんとか笑顔でその場を取り繕うケイだったが、内心では目眩がしそうなのを抑えるのでいっぱいいっぱいであった。


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