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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-31

「……何これ?」
「ああ、気にしないで。私達の着替えを覗きにきたバカ達を半殺しにしただけだから」
あっけらかんとした笑顔を見せながらさらりと恐ろしいことを言う香織。
「べ、別に俺はお前の着替えなんて見たくねぇ……ケイさんの着替…グエッ!」
「あら、なんか言ったかしら? 中嶋くん」
にこやかな顔で幸司の顔を踏み付ける香織の目は殺気に満ちていた。
その後、廊下に転がっている幸司達をクラスの女子が鬼の形相で連行していき、それを見届けると香織は更衣室に入りケイは今まで香織がしていた様に見張りとしてドアの横に立った。
しかし、人間とは不思議なものである。
今、こうしてケイの姿で女子更衣室に立っていても誰も咎めるどころか女子生徒に至っては頬を朱くさせて「応援してますからガンバって下さい!」とか「明日を楽しみにしていますね」等々いろんな言葉を投げかけられる。
しかし、これが圭介の姿でここに立っていたら当然だがただの変態として白い目で見られていただろう。
そんなことをボーッと考えていたケイだったが、突如更衣室の中から香織の悲鳴が聞こえてきた。
「香織ちゃん!?」
何も考えずに更衣室に飛び込んだケイは思わぬ光景を目にするのだった。
その光景の破壊力は絶大だった。
香織の姿を目にしたケイの思考と動きはきっかり三秒は止まった。
この時の香織の姿は制服は脱ぎかけの下着姿で床にへたり込み、表情は半泣きであった。
香織のこんなあられもない姿を見せられてケイにまともな思考を維持しろというのは酷なものである。
「ク、クモ……クモが目の前に…」
ガタガタと震える香織は近寄ってきたケイに抱き着くと泣き出してしまった。
「わっ、あわわっ、香織ちゃんちょっと待って!? そんなにきつく抱きつかないでぇ」
否応なしに抱きつく香織にケイは顔を真っ赤にしてわたわたと慌て出す。
もはや二人とも普通の状態ではなかった。
香織は大の苦手なクモとの遭遇で取り乱し、ケイは半裸の香織に抱きつかれ理性を失いかけていた。
しかし、失いかけていた理性を耳元から聞こえる香織の泣き声がケイを冷静にさせたのだ。
ケイに抱きつきクモに怯え泣き付いている香織は普段の元気な香織と違い、今まで隠されていたか弱い女の子の部分をさらけ出していた。
ケイは一度深呼吸をしてから穏やかな表情で香織を優しく抱きしめると髪を撫でながら香織を落ち着かせようとしたのだった。
「大丈夫よ、落ち着いて香織ちゃん…私がそばに居るから安心して」
「…グスッ……ケ、ケイ…?」
「しばらくこうしてあげるから…ねっ」
ケイに抱きしめられ優しく頭を撫でられている香織は目を閉じるとケイに身を委ねるのだった。
それからケイが香織を抱いていると気持ちが落ち着いてきたのか香織が話してきた。
「ねえ、ケイの心臓すごくドキドキしてる…」
「さっきの香織ちゃんの悲鳴で驚いて駆け込んできちゃったからね…」
本当のことはさすがに言えなかった。
まさか香織を抱きしめていて女の子特有のその身体の柔らかさや、セミロングの髪からのシャンプーの香りにドキドキしてるなんて絶対に言えなかった。
しかし、更に危険なことはケイの下半身にあった。
男であることを隠す為に奈津子から貰った特注のコルセットの様な補正下着を着用しているのだがバレやしないかと肝を冷やすケイだった。
そして、その心情は乾いた笑いとして出てきた。
そんな微妙な時間が二人の間に少し流れた後、ケイが気まずそうに香織から離れると香織はちょっとだけ不満そうな顔をした。
「香織ちゃんもそろそろ着替えないとね。いつまでもその格好じゃ……」
ケイは香織が未だ下着姿であることを言うと引き攣った笑顔でパタパタと来客用のスリッパを鳴らし更衣室を出たのだった。


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