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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-20

「こっちの後始末は終わったぜ。て、モミジ、みんなどうしたんだ?」
大柄の男は周りの雰囲気を不思議そうに眺めると俺の傍に浮いている不思議生物(どうやら名前はモミジというらしい)に話しかけた。
「明カ、後片付ケゴ苦労ダッタナ。何、大シタコトデハナイノダガ、百合ガイツモノ如ク感情ニ任セテ暴走シタダケダ」
モミジはヤレヤレといった感じで呆れ、明は苦笑しつつモミジを肩に乗せたのだった。
「んで、菅原はなんであんなに怒ってるんだ?」
明は険しい表情でブチブチ文句を言っている泉を見ながら不思議そうに言った。
「ああ、なんでもうちの馬鹿が彼女をナンパしようとしたのが原因らしくてね…」
ケイは乾いた笑いをしつつ未だ床に転がってる幸司を指差したのだ。
「な、なにぃ!? 俺だってまだデートにすら誘えてないのにぃ!!」
「熱クナルナ馬鹿者。明ハマダマダ精神修養ガ足リナイ様ダナ」
いきり立つ明をモミジがどこからか取り出した扇子で頭を叩き明を諌める。
「イテッ! なにすんだよモミジ」
「慌テルナ。泉ヲ伴侶ニシタイト思ッテイル男ガソンナ狭量デドウスル」
「でもよ……」
あくまで冷静なモミジに明は不承不承といった感じだったが「しょうがねぇなぁ」と言いながらモミジを肩に乗せながら百合達のところへ歩いて行き、ケイは香織達の様子を伺った。

「えーっ!? ケイと一緒にライブするのーっ! いーなぁ、私も香織ちゃんとこの学園祭いきたい!!」
「じゃあ、学園祭のチケットあげるから遊びに来てくれる」
百合と香織の間でどんな交渉があったのか俺は知らないが、香織は学園祭でのライブ対決の票稼ぎを期待してるのだろう。
鞄からチケットを五枚取り出すと百合に渡したのだった。
「わぁっ、ありがとう香織ちゃん! 学園祭にはみんなで絶対行くからね」
百合は嬉しさ爆発って感じで跳ね回った。
「しっかし、ケイさんって美人だよなぁ」
学園祭のチケットを貰って喜んでいる百合の横でアキミツはケイを見てポツリと呟いた。
そのアキミツの不用意な一言により、百合の表情が一変し空気が変わったのだった。
「アーキーちゃーん…今、ケイに変なことを考えなかった…?」
百合がジト目でアキミツを睨みつける。
そのプレッシャーに睨まれたアキミツだけでなくケイも背中に冷たいものを感じたのだった。
「か、考えてない、考えてないぞっ!!」
アキミツはぷるぷると怯えながら引きつった表情で百合に弁解した。
「ホントにぃー?」
「ホントだってばぁ」
「その言葉を信じていいんだよね? 嘘だったら呪っちゃうよ」
なんか笑顔でとんでもないことを言ってるんですけどこの子…。
本当に呪われそうな勢いなのが怖いデス。
ケイがそんなことを思ってる間、アキミツは顔を蒼白させながらぶんぶんと何度も頭を縦に振っていたのだった。
「百合、有末、そろそろ次の依頼の場所に向かわないと時間がなくなるわよ」
呆気に取られていたケイ達を気にすることもなく泉は店内の時計を見て百合達に移動を促した。
「あっ、もうそんな時間なんだ。それじゃ、ケイ、香織ちゃん、またねぇー!」
百合が元気にぶんぶんと手を振ると、泉を先頭に百合達はスタジオを出て行ったのだった。
そして、香織もまた百合と同じようにぶんぶんと手を振りながら見送っていた。
それにしても、学園祭でまたあの正体不明な方々と再会する羽目になるのかと思うと俺は小さくため息をついたのだ。


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