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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-19

「アキちゃーん、こっちこっち! 本物のケイがいるよぉ」
アキちゃんと呼ばれた男の子は呆れたような困惑顔でこっちに歩いてきて、彼女の肩に手を置くと盛大なため息をついた。
「百合、勝手にうろついて他人に迷惑をかけるなっていつも言ってるだろ。百合が騒がしくしてホント申し訳ないっ」
アキちゃんと呼ばれる人物は平謝りをしてくれたが百合という女の子は「アキちゃんわかってないなぁ」と言いながら頬を膨らませていた。
てか、足元が浮いてる彼女って一体何者!?
百合という名前の正体不明の女の子の出現にケイが慌てていると、後ろから香織達がやってきた。
「ケイ、さっきから慌ててるみたいだけどどうかしたの?」
そう言いながら俺の後ろから顔を出し目の前にいる女の子たちを覗き込む朱鷺塚。
そりゃ、微妙にとはいえ宙に浮いてる女の子を目の当たりにしたら誰だって慌てるだろ。
「ありゃ、あなたもケイのファンなの?」
俺の動揺を気にも留めない様子で朱鷺塚は百合って子に笑顔で話しかけた。
てか、朱鷺塚はあの子が普通じゃないってことに気付いてないのかっ!?
ちなみに俺の後ろにいる竜二は俺と同じく百合って子が普通でないことに気付いたらしく目を見開いたまま表情が固まってるのに対し、慎也はそんなことは我関せずみたいな感じで楽しそうに話してる朱鷺塚達に混ざろうとしていた。
そんなみんなのある意味和んだ空気をぶち壊すかの様にいきなり受付の方から女の子の怒声が聞こえてきた。

「ええいっ、しつこいぞ! このたわけがっ!」
声のする方向にみんなが目を向けるとそこには腰にまで届きそうなくらいの長い黒髪の凛とした感じの美少女に張り倒されてる幸司の姿があったのだった。
俺、本当にコイツの友達やめようかなぁ…。
そんなことを考えながら頭を抱えてため息をついてると百合という子が幸司を張り倒した美少女に声をかけたのだ。
「泉ちゃんどしたの? いきなり大声を出して」
すると、泉ちゃんと呼ばれた美少女は肩を怒らせながらズンズンとこっちに向かって歩いてきた。
「全くなんなのだあの男は。人を見るなり言い寄ってきおって」
不機嫌そうに語る泉ちゃんと呼ばれる美少女を百合が「まあまあ、泉ちゃんは美人さんだからねぇ」と宥めているのを見て俺と朱鷺塚は思わず苦笑するしかなかった。
「あれの飼い主は貴女達ですか? ああいったケダモノを野放しにされては困ります。表に出すならちゃんと躾をして下さい」
泉はそう言うと腕を組みヤレヤレといった感じでため息をついた。
「あはは…迷惑かけちゃってゴメンねぇ。でも、アレの飼い主にはあたしなりたくないわ…」
香織は泉に平謝りをすると、幸司の飼い主ということについては苦笑しながら全力で否定した。
そんな彼女達のやり取りを眺めてるケイだったが、ふと視線を感じ顔を横に向けると俺の肩の辺りにトンデモ生物が浮いていた。
「フム…オ前面白イナ。男ノクセニナカナカノ美少女デハナイカ」
俺の顔をジロジロと眺める人形サイズの着物を着た女の子はフワフワと浮きながら楽しそうに小さな声で話しかけてきたのだ。
しかも、いきなり正体バレてるし。
動揺しまくる俺に人形サイズの不思議生物は耳元で更に囁いた。
「安心シロ。別ニオ前ノ正体ヲバラスツモリハ毛頭ナイ」
その点については安心したが、しかし不思議というか奇天烈というか、とにかく訳のわからん存在であるお前については現時点で俺は安心できないよ。
そして俺はこのフワフワ浮かんでいる不思議生物を訝しげに見ていると、やたら体格の良い男が気の良い笑顔を見せながら不思議生物に話しかけてきた。
ちなみにこの人、イメージ的にはニッカボッカに安全ヘルメット&つるはしといったスタイルが似合いそうなくらいに体育会系の体つきをしていた。
この人に本気で殴られたら一発で昇天しそうだ…。


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