Trance-1
カリカリ
小さな部屋に響きわたるペンの音
カリカリ……カリ…
「はぁ……」
どうも原稿がすすまない、とよれたTシャツをきた男は呟いた
コンコン
入ってきたのは男の担当者
「どうですか。調子は」
男は肩をすくめてみせる
「困りますよそれじゃあ。締め切りは明後日なんです」
そんなことわかってらぁ
「少し寝ることにするよ…ーここのところ殆んど寝てないんだ」
「ちゃんと明後日までに仕上げて下さいよ」
あ…ー五月蝿いなぁ、と男は小声で言いながら返事した
「わかった」
「では、失礼します」
…ーふぁ
大きな欠伸がひとつ
男は目を擦りながらTシャツをぬぎソファーに身を沈めた
そうとう疲れていたのだろう
すぐに部屋中に響き渡る大きな鼾が聞こえはじめる
おい!!!
おいってば!!!
ん…ー?
遠くから聞こえる呼び声に気付き目を開けるとー…
そこには…ー少年と言うべきだろうか?
真っ白な肌に紅蓮のように赤い目、頭には角のようなものがついている
そんな風貌をした少年がこちらを見据えていた