*HeartBreak...of..*-3
「…ずっと聴いてるだろ??この間から」
杉浦がこっちにきた。
「うん…綺麗だったから。」
「…ありがとう。」
杉浦は優しく笑った。
その時、私はこの曲なんていう曲なの?
と聞くこともできずにただあなたの優しく切ない笑顔に浸っていたんだ。
ピアノの音色に
恋したのか
それともあなたに
恋したのか
高校生になっても
約束は守らなきゃ
いけないんだよ…
〜無言〜
私は中学生の時のことを思い出していた。
杉浦と出会った頃の。幸せだったな…楽しかったな…辛かったことあったけど。
それでも私は夢に浸ってはいられなかった。
高校は楽じゃない。
部活に行かなきゃ。
……
低音パートは最近静か
理由は私と杉浦が無言で練習してるから
杉浦の楽器はチューバで私の楽器はコントラバス。
どっちも低い音を出すんだ。
パート練習の時は杉浦と二人で騒いでいたからパートのみんなは静かになっちゃった。
そんな雰囲気もユーフォニアムという楽器の高宮ちゃんはちゃんとわかっててくれてて静かにしてくれる。
でも空気が読めない子ってどこにでも一人はいるよね。
低音パートではチューバの水谷っていう女なんだけど…いきなり…
「ねぇ、瑠依ちゃんと杉浦って喧嘩でもしたの?」って水谷は聞いてきた。
「違うよ〜喧嘩なんてしてないよっ。」
私は否定したのに
「そう、藍沢と俺は喧嘩したの。」
杉浦は何事もなかったように平然とそれだけ呟いた。
「やっぱりぃ。」
水谷は満足気に練習に戻った。
涙が混み上げてきた。
「私、杉浦がなに考えてるかわかんないよぉ…。」
そう呟くと杉浦は音を立てて練習室からでていってしまった。
「高宮ちゃん、私なんか変なコト言った?」
水谷は不安そうに高宮ちゃんに言った。
「空気…読めないね…あんたって。」
高宮ちゃんは皮肉たっぷりに笑った。
静かに杉浦への思いが大きくなっているなか私は、まだ彼を忘れることはできなかった。