Cross Destiny
〜神竜の牙〜@-12
《五年前
五大大陸 レヴェンド、ゼルス、アルマー、カーフ、ノーヴ。
そしてそれを統治する
五大王国 ジェラルド、ホーリー、ヒーティア、リィズ、シーラ
それらとは別に隔離された一つの島、ノルス島の小さな村に隣接する森の片隅で、アルスとフォルツは戦い合う
「ハアアア!!」
アルスは鞘を付けたままの剣でフォルツに斬りかかる。
「アイスエッジ!!」
フォルツは斬りかかってくるアルスに氷の下位呪文を放つ。
「ちっ」
アルスはその氷を剣で防ぐが、その隙にフォルツは距離を取る。
「いくぜ!サンダーランス」
フォルツの杖から雷の下位呪文が放たれ無数の雷がアルスに向かって飛ぶ。
「遅い!!」
しかしアルスはそれを全て避わしながらフォルツに突進し遂に間合いに入ると脇腹に鞘付きの剣を叩き込む。
「ぐはあ」
その場にうずくまるフォルツ
「甘いぞフォルツ!抜き身だったら死んでた」
アルスは高らかに言い放つ。
「うるせえ、こっちだって下位呪文しか使ってないんだからしかたないだろ!」
「ハンデがあるのはお互い様だ」
「ちっくしょー、アイスエッジ!!」
フォルツは氷の下位呪文を連続で放つがアルスはそれを身のこなしで次々に避わす。
「くそ当たらない。こうなったら」
フォルツは決心したように杖を構える
「シャインアロー!!」
光の下位呪文を放つ
高速の光の矢がアルスに向かって飛ぶ。
「なっ、それは」
アルスは避わしきれずに剣で受け止めるがそのまま吹き飛ばされる。
「これで俺の1816戦中823勝だ。ちくしょうまだ黒星が多いけどな。」
今度はフォルツが高らかに言う。
そしてアルスがむくっと立ち上がると怒った表情でフォルツに向かう。
「それは使うなっていっただろ?」
「だ、だってさ、今日はお前の動きがよかったからさ」
下を向きながら言うフォルツにアルスは続ける。
「得体が知れないんだぞ!お前のその
"黒い光呪文"は!」
通常光呪文は黄色い光を放つ呪文だが、フォルツの光呪文はなぜか黒い輝きを放っていた。
そしてフォルツのその特別な呪文にアルスは言い表せない不安を抱いていた。
「わ、悪かったよ」
うつむきながらフォルツが謝る。
「とにかくあんまり多用しない方がいい、特に人前ではな。」
「イエッサー」
フォルツは敬礼しながら言った。
「約束だぞ。
じゃあ今日はこれくらいにして帰るか。」
「おう、その前に晩飯の調達だ。」
「ああ」》
「いやあ懐かしいな」
黒髪を掻きながらフォルツが言った。
「お前なあ、あの時から俺が口をすっぱくして言ってるのに、こないだもジェラルド兵に光呪文を使ったよな?」
「お、きたきたきた!」アルスの視線が痛かったフォルツだが魚の引きを感じ、すぐさま話を反らそうとする
「よっしゃあ、四匹目ゲッツ!これで二匹ずつ食えるな、よかったよかった」
アルス肩を叩きながら高らかに言うフォルツだった。
「やれやれ」
そんな楽天的なフォルツに呆れた顔をするアルス。
いつものことだ。