きみのとなりへB-2
次の日
「いっぺ〜!」
靴を履き替えてると、誠二が滑り込んで来た。
「おぅ、誠二、おはよ!」
僕は、昨日のメールのおかげで、ご機嫌スマイルで挨拶をした。
「おぉう、そんな可愛い顔しても何も出らんぞ〜!」
誠二はすぐ僕の事を可愛いって言う。女顔の事、気にしてるのに。
僕がぶすくれて、誠二を置いて先に階段を上っていたら、誠二は急いで追いかけてきて、媚びるように言ってきた。
「まあまあ、二次審査も近い事だしそんな怒んなよ〜!」
そうだ!二次審査!
僕は顔のことなんてすっかり忘れて食いついた。
「二次審査ってどんな事すると?!」
そんな僕を見て、誠二は少しもったいぶったように言った。
「二次審査は、偉い人の前で一曲歌うんだって。でな、三次審査はなななんと…!」
「なななんと?!」
「テレビに出ます!」
「えええっ!?テレビ?!」
誠二はすごくワクワクした顔して
「そ!かなりでっかいチャンスと思わん?これは頑張るしかなかろ?」
と満面の笑みを浮かべて言った。
「やね!マジ頑張らんば!!」
テレビはちょっと心配だけど、なんだかウキウキしてきた!夢に近付いていく感じだ!
「二次審査はいつ?」
「えっと、次の次の日曜日だから…10日後やね!」
「ようし!誠二!今日から猛特訓だ!!」
「マジすか!?」
夢に近づくためにも、沙癒ちゃんに近づくためにも、頑張らなくっちゃ!!
【つづく】