fantasy ability・7‐始まりを知らせる“鐘の音”‐-5
「素晴らしいな。よく判断したな、皇希!」
「それはどうも。で、どうするんだ?」
「‥‥ここで君とは戦わない。まぁ、後で戦う事になるだろうけどな。」
「‥‥‥」
男性の足元に、魔法陣が浮かび上がった。
「俺は四天王の一人、死神 誑笥(しがみ きょうし)だ!‥‥山崎 皇希、お前を倒すのは俺だからな!それまで死ぬなよ?」
誑笥はそう言い残し消えていった。
「‥‥皇、私にはわからないわ。何故、貴方は知らない筈の詠唱を唱えられるの?」
そう、皇希は知らない筈の詠唱を余裕で唱えていた。すると、皇希が喋る。
「俺にもわからない。しかし、頭には“力の真実”がある。だから、唱えられていたんだ。」
「‥‥そうなのね、わかったわ。もう何も言わないわ。助けてくれてありがとうね。帰りましょう。」
「‥‥ああ。」
皇希と織音は学校を後にした。
‐神城家襲撃から二時間後、神城家食堂‐
あちこち壁や窓が壊れているが、気にしないでおこう。なおかつ、司義莉と凰輝が廊下で立たされている事も、無視しておこう。
「光?司義莉お父様と凰輝は何をしたの?」
「‥‥お母さんの逆鱗に触れてしまいました。織音様。」
「そ、‥そうなのね。」
「織音様?あの二人の事は無視でお願いします。」
梛は笑顔だが逆にそれが怖かった‥‥
「ふぅ。‥‥皇希君?織音様を助けて頂き、ありがとうね。」
「いいえ。‥‥」
皇希は以外に無表情だった。それが当然と言わんばかりに‥‥
「ふふふ、皇希君、貴方は本当に織音様が心の支えなのですね?」
その一言に皇希は、動揺一つしなかった。
「‥‥頑固者ですね。まぁ、この一件でわかりましたけどね。」
「梛!いい加減にして!」
「あら、織音様が動揺するなんて、珍しいですね。ふふふ♪」
梛は実は悪女?‥‥
〈ジロッ!〉
‥‥なんでもありません。梛は普通の女性です‥‥
〈ニッコリ〉
‥‥‥。すると、織音が喋った。
「何故、奴らが撤退したのか、理由が解らないわ。」
「そうですね。」
そう、何故敵は“撤退”したのか、理由が無かったのだ。皇希が急に喋る。
「‥俺の【存在】が関係しているだろうな。」
「皇が?」
「ああ。高等な詠唱と“禁断詠唱”が原因だろうな。‥‥そう思いますけど、異論は?司義莉さんと凰輝さん。」
皇希は二人に質問の矛先を向けた。凰輝は無言だが、司義莉が少し考えて喋る。
因みに、いつの間にか二人とも席座っていた。凰輝は皇希から見て右隣だった。