Twilight Closse外伝〜西野そのみの攻防〜-3
「…だからよ。わかった?さ、理由を言いなさい」
「ん?ああ。理由ね」
…
「なぁ西野。やっぱ本屋で会話してるとさ。周りの客に悪いんじゃないか?」
「ん?それもそうね」
話を変えようとする十字朗。
「適当な所で話しようぜ?何かあるだろ?喫茶店とかさ」
ワァァァァァァァァッァァァァアァァァッァァア!!!
やばいやばいやばいやばいやばい!!!
喫茶店?まんま彼女と行く場所じゃん!女友達とか、そう言うのとかじゃ絶対行かないって!
て事は?!私、結構身近で彼女でもいいかな〜って言うポジションなの?!
!
あ、危ない。危うく顔に出る所だった…
冷静に冷静に。
「んー、アンタの言う通りね。じゃ、あそこのファミレス」
さすがに喫茶店とか雰囲気がやばい!ファミレスで妥協しないと!
…って、どっちも大して変わらないじゃん!
と、何かとそわそわしてる十字朗。
…ここまでされるって事は…
手…握っても大丈夫って範囲よね…
…慎重に…気付かれないように…かつ、自然に…
手…手…十字朗の…
「…あ〜、西野?お前は何でそんな事をするのかな?」
ヤバイイイイイイイイイイイ!
初めて十字朗に触った!初めて!うっわ!鼻血出そう!!!
思わず早足になる。もっと長く繋いでいたい。でも恥ずかしい!
「逃げる気だったでしょ?」
「あ、いや、そんな気はハナから持ってませんことデスヨ?おい。ちょっと!」
言い訳も決まった。我ながら、こんな状況によくその台詞が出たものよね。
…ひょっとして、少し女の子っぽくなれたのかな?
思わず強く、十字朗の手を握った。
「さ。行くよ」
跳ね上がる心臓。あがっていく呼吸。
季節は、夏だった。