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Ordinary Diary
【純愛 恋愛小説】

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Ordinary Diary-1

ヒトと関わらなくても生きていける、いつもそんなことを考えていたのに・・・

「めんどくさいなぁ・・・さすがに起きとかなきゃまずかったな・・・」
春の暖かな陽気を背中に感じつつ重い足取りで資料室への道を今朝の出来事を思い出しながら進む
〜遡ること3時間まえ〜
「羽田君私と同じ庶務係だから」
普段全く話すことのない女の子から話し掛けられて、女の子に対する免疫を全く持たず、若干寝呆けている俺は思わず言葉につまる。
「・・・えっ?」
「もぅ、やっぱり話聞いてなかったんだね」
何の事だかさっぱり分からない、寝呆けた頭でも分かるように説明してほしいものだ。
そんな僕の考えを察したのか、彼女は俺に構わず説明をしてくれた。
「昨日クラスの係を決めたでしょ、その時に私と羽田君が庶務係になったの」
身に覚えがない・・・若年性アルツハイマーの恐れはまだないはずだが
「俺立候補なんてしたっけ?」
即座に聞き返すと彼女は若干呆れた顔で
「最初っから最後まで寝てたでしょ。だから枠が空いてた庶務係に入れられたの」
と、ことの終始を教えてくれた。
だってしょうがないだろ?仮にも医学の道を志してる者なんだから睡眠時間はいくらあっても足りないんだよ、と心の中で軽く愚痴る。
「ともかくそういうことだから、今日の昼休みに資料室に来てね」

・・・まぁこういう経緯を経て今に至る訳だ。
しかし、女の子と二人っきりとは・・・緊張するな・・・
俺「羽田公輔」(はねだこうすけ)16歳は女の子とろくに話したことがない。顔を見ただけでも緊張してしまう。だから極力女の子との接触は避けてきた
まぁ、もともと人付き合いが苦手ってのも関係してるんだろうけどな・・・
ちなみに医学部志望の動機は、「尊い命を救うため」ではなく「がっぽり儲けて楽な生活をするため」だ
つまりは医龍派じゃなくて白い巨塔派ってことだ。
ほとんど話すことも無かった亡き父に唯一教わった「金が無きゃ生きていけない、楽したけりゃ汚いことしてでも金稼げ」という、教育方針間違ってんだろ、と誰もがつっこみたくなるような言葉に従いこの道を選んだ。
思えば16年の短い人生の中で父に従ったのはこれが最初で最後だった気がする。
そんなシャイボーイの俺だから、足取りが重くなるのも理解して頂けるだろう。
気が付けば資料室はもう目の前に
「はぁ・・・睡眠時間を確保したかったのに・・・」
気乗りしないまま、資料室のドアに手を掛け、力なくドアを開く。
「おっそ〜い!」
開口一番、中にいた少女はいきなり不満を爆発させる。
彼女の名前は「国元恵梨子」(くにもとえりこ)明るい子で、身長は比較的小柄な俺よりさらに小さく150?弱といったところだろうか。
色白の肌に肩の辺りまで伸びた黒髪は毛先がちょこんとはねている。
まぁ、すべて俺の第一印象から判断したものだから細かいところまではよく分からないが・・・
「もっと早く来てくれないと、今日中に仕事終わんないよ」
「あ・・・ゴ、ゴメン」
「もぅ・・・じゃあすぐに始めよっか。そこに積んであるプリントをまとめていけば良いから」
そういって彼女は俺の前方にある、高さ50?ほどまで積み上げられたいくつもの小さな白い山を指差す。
いったいうちのクラスは何人いるんだよ、これは俺がもっと早く来ていても今日中には無理だろ、確実に・・・
「これ全部?」
ほのかな期待を込めて彼女に問い掛けた俺の望みはすぐに打ち砕かれた。
「そうだよ、だから早く来てほしかったのに・・・」
と、膨れっ面で不機嫌そうに彼女は語る。
遅れて来た手前何も言えないし、さっさと取り掛かるかな・・・っと、その前に・・・
ポケットに入れっぱなしにしていた掌だけを覆うタイプの手袋を付けて作業を始める。


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