あたしにとってのふたり-3
そいつはびっくりするくらい心配そうな顔をしていた。
‥やっぱりこういう事態には弱いのね。‥‥と思った矢先、そいつはニヤッと笑ってあたしの前に手を差し出して言った。
「立てる?」
優しい言葉と一致しない不気味な笑顔に、いくばくの恐怖を感じつつもあたしはその手を掴もうとした。
その瞬間、そいつは勝負を決定付けるシュートを放った。
「びーかっぷ。」
ちょっとぉ!!
そこはあたしの名前を呼ぶ所でしょうが!
しかもあたしそのネタ苦手なんだってば!!
「な、なんっ!っっゲホッ!ゲホッ!!」
「あーあ。そんな状態で叫ぶから‥」
いやっ、カンペキ悪いのそっちでしょーが!
とか思いっ切り叫んで暴れてやりたいけど体はゆうことを聞いてくれず‥
ここから先、家に着くまでやられる一方だった。
必ず仕返ししてやる…怨
ふふっ。
あぁ、顔がニヤける。
ふふっ。
こいつとこんなにバカやったのいつ以来だろう。
小学校の低学年の頃以来‥‥かな?
あの頃は『好き』とか分かんなくて、ただ楽しければいいって感じだったなぁ。
でも、だんだん大きくなるにつれてこいつのコト意識し始めて‥‥。
あたしがあたしの好きなあたしじゃなくなっていって‥‥。
でもそれは仕方ないことだと自分を無理に納得させて‥‥。
でも、わかったんだ。
今がすごく楽しいし、幸せ。それは、あたしの本当の姿を有りのままに表現できるから。
それに、こういうあたしの方が魅力的!‥‥なんてね。
今のあたしが一番好き。これだけは絶対に言える。だからあたしはこのままで。自分に正直に。好きなコトを好きな時に好きなやり方で。
でも人を思い遣るココロを忘れずに!
あぁ、なんかひとりで盛り上がっちゃったなぁ。
‥いいんだ!
これがあたしの好きなあたしなんだからっ!!