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あたしにとってのふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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あたしにとってのふたり-1

中学校に入って2年目を迎えた。
休みの日以外は登下校でほぼ毎日通るこの公園。
もう見慣れた桜が散り始めたこと以外はいつもと特別変わらない光景。

あたしにとっていつもと違うことは、今日のお昼過ぎに身体測定があったことと、いま好きな人とふたりっきりで帰り道を歩いていること。
あたしとそいつはある日のある出来事を境にかなり“いい感じ" な関係になった。まぁ、その話は置いておこう。


「俺背10cmも伸びた!」
そいつはあたしの大好きな笑顔で話しかけてくる。

「はいはい、それ聞くのもう3回目だよ。こっちも成長するといいね」
と言ってあたしはそいつの胸をポンポン叩く。そいつはちょっとだけ弱虫だから。

「そ〜ですね。」
そいつはお昼の某長寿番組みたいな言い方をして「見習います」と言いながら少し膨らんできたあたしのそこを見てくる。

「なに? 欲しいの?」
あたしは握り拳を作ってみせる。こうでもしなきゃドキドキがばれてしまいそうで。

「なんだよ。そっちこそ大人になれよ。」
━━シュッ!
スカッ
「うわっ、わっ」
━━パフンッ

渾身の右ストレートを躱されバランスを失ったあたしの体は不可抗力でそいつに抱きついてしまう。
“そこ"が当たっている感覚に、あまりの恥ずかしさで顔が熱くなる。

「やっ、離して」
そいつはあたしの背中に腕を回してきた。

「離したらまた鉄拳が飛んできそうだからなぁ」

あたしはそいつの胸に頬を当てる格好になっているから見えないけど、きっとそいつは意地悪な顔で笑ってるんだろう。

「‥離さないとヒドイコトになるよ?」
「じゃあ、離したら?」
「‥‥殴る。」
「離せないじゃん!笑」

‥嗚呼、つくづく素直じゃないこの性格が恨めしい。
頭の隅っこで『もう少しだけでいいからこのままでいさせて』という言葉が激しく自己主張している。
‥‥これを口にできたらどんなに楽だろう。
そしたらこのドキドキが伝わってしまっても構わないのに。

「もう、いいから離してよ。恥ずかしいよ。」
「なんで? 周り誰もいないよ?」
「そういう問題じゃないの」

体を引き離そうとすると逆に強く抱き締められる。

やばい。嬉しい‥。


両手が勝手にこいつの首に回る。ついに理性が崩れてしまった。

「そうそう。最初から素直にそうしてればいいの。」
「うるさいバカ」

「‥ん? 耳、赤くなってるぞ?」
‥意地悪な声。

あぁ〜、もうホンっとにこいつは! あたしがちょっと強がると決まってイジワルしてくるんだから!
‥弱ってる時はすごく優しくしてくれるのに‥。

そんなこと言われたら口が勝手に‥体が勝手に〜〜!


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