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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜アガパンサス〜-2

「くそ…あいつ等言いたい放題言いやがって」
先程ボロクソにけなされその場にいるのが耐えられなくなった誠は一人住宅街をトボトボと歩いていた。
「損な生き方してる、か…んな事わかってるさ」
先程言われた事を思い出し考えにふける。誠自身それはよくわかっていた。人がいい、とは前からよく言われていたがそれがおかしいとは一度も思った事は無かった。今迄そうやって生きていたからだ。それに誰かが困っている姿を見たくないという事もあった。誠自身もそうだったからだ。
「悪くなれ、か…そうだな!この際悪くなってやる!泣く子も黙る悪人になってやる!」
ここで誠は大きな勘違いをしていた。信太は恋愛に関して我が儘になれといった意味で悪くなれといったので決して人間として悪くなれと言ったのではない。だが今の誠はそれに気づく余裕すらなかった。
「そうと決まりゃさっそく…ん?」
「なぁ〜ちょっとくらいいいじゃんかYo〜」
「いい店知ってしSa〜」
「行こうZe〜」
「あ…あの、その…」
悪人になると決意した矢先目の前では今は平成だよなと疑いたくなるナンパをしている不良がいた。ナンパをされている女の子は壁に押しつけられ逃げられないようにされていた。
「ベタにも程があるだろあいつ等。さて、ちょっと痛めつけて…と、いかんいかん俺は今悪人なんだ。悪人なんだからこの場は見捨てよう、うん」
足を踏み出し助けに行こうとするが先程の決意を思い出し頭を振り体を180度回転させる。
「悪いな、俺はもう悪人なんだ」
そう呟きその場を去ろうとする。
「いいじゃ〜ん行こうZe〜」
不良Cが女の子の腕を取り強引に連れて行こうとする。
「きゃっ!イヤっ…!」
女の子が抵抗をすると着ていた制服の袖がビリっと音をたてて破けた。
「………」
その瞬間誠の中の何かが弾けた。
…いかん、無理だ。あの子を知らん顔で見捨てるなんぞできるか!あの子を見捨てるのが悪人なら…俺は悪人なんぞ御免だ!
足を止めその場を振り返る。
損な生き方してる?上等だ!何が悪い、損だなんて一度も思った事ねぇ!
悪人となると決意してから1分、早くもそれは撤回された。だが気分は晴々としていた。自分は根っからのお人良しだなと改めて思い苦笑して駆け出した。
「Oho!ごめんYoお詫びにお茶奢るYoだから俺達と…」
「イ…カ…ヅ…チ…キィィィック!!」
「ぐはぁっ!」
誠はしつこくナンパをしていた不良Aに跳び蹴りをおみまいした。
「悪い悪い、ちょっとそこでつまずいてさ」
「嘘つけっ!!技名叫んでやがったZe!!」
「まず貴様等には礼を言っておく、ありがとよ」
「はぁっ?」
不良達は突然の乱入者の不可解な行動に怒りを覚えつつ困惑した。
「もう少しで俺は最低な奴になるとこだった。だが貴様等のおかげで自分自身を再確認できた」
「はぁ…」
「故に貴様等には選択肢をやろう。その子に謝ってさっさと消えるか俺のストレス解消に付き合うか、選びな」
「ふざけんじゃねぇYo!」
「いきなり出てきて勝手なこほざいてんじゃないSa!」
「ぶっ飛ばしてやるZe!」
不良達は大人しく引き下がるはずもなく誠に食ってかかった。


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