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恋心粋
【制服 官能小説】

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恋心粋〜開花〜-6

「はい」
「俺」
「…弥花がそっちに行ったか?」
「うん、今夜はここで泊まらせるけどいいかな?」
「いいも別に…最初からそのつもりだったよ」
「あいつ、何て言ったんだ?」
「撮影現場を見たいと言ってね。まぁ、それは建前なんだけど…」
 亜蓮は1ヵ月前の弥花を思い出して笑った。
 ロケから帰ってきた亜蓮に、いきなり「仁忍のスケジュールを教えろ」と聞いてきたのだ。
 何も勘ぐらなくても、もう答えは解っている。

「…喰ったんだろう?」
「謝るつもりはないけどな」
「ふふ、いつかはそうなるだろうと思っていた」
「ふん…」
(亜蓮にはバレていたか…)

「これから弥花の舞が開花していくのが楽しみだな」 『SEXで舞の質が変わる』というのが、亜蓮の持論だ。
(亜蓮もすけべな奴だよ、本当…)

「あいつに能楽師は向いてねぇと思うけどな…」
(そう、あの粋の良さは歌舞伎向きだ。『助六』の揚巻のように…)

「それは弥花が決めることだ。今はまだ時分の花だからね、焦ることはないよ」
 そして付け加えるように、亜蓮は携帯の向こうへ微笑む。
「…ただ、時期が悪いな?」
「ん〜、襲名が落ち着いたらとは思っていたけど…」
(…考えるより先に勃っちまったし。あ〜、男の性って痛いな)

「ふ、気を付けろよ。弥花は猫みたいな奴だから、がっちり捕まえておかないと…あいつ、ふらふらするぞ」
「わかってるよ。ちゃんと餌付けておいたから」
(…えっち、でな。う〜、自己嫌悪だ…)

「まぁ、お前なら安心だけど。…頑張れよ」
 亜蓮は笑い、明日の撮影の確認してから電話を切った。

(……何か…微妙〜〜!!)

 切れた携帯のディスプレイを見つめながら、急に自信を失くす仁忍。
 気分がすっきりしないのだ。
 股間から始まった関係とは言え、弥花の気持ちを掴めないのがもどかしい。

(くそっ!自分で蒔いた種だ…)


 寝室に戻った仁忍は、行灯で浮かぶ弥花の寝顔を見下ろす。

(すぴすぴと、1人平和に寝やがって…)

 そして、傍にあった弥花のバックから携帯を取り出す。
 ピ、ピ、赤外線送信。
 本当は亜蓮に聞いても良かったのだが、…何だか照れてしまう。
 弥花に直接聞けば、あのいつもの気性で「知るか!」で取りつく島もない。

(まぁ…そこがたまんねぇけどな)

 自嘲した仁忍は、羽織ごと着物を脱いだ。

(このツンデレめ!)

 布団の中へ潜り込んで、弥花を抱き締める。
「んん………」
 胸元へ擦り寄ってくる安らかな表情に和みながら、仁忍は思う。


(少なくとも今は…。お前は俺のものだ)


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