淫魔戦記 未緒&直人 2 〜覚醒〜-10
−未緒と直人と俊樹以外は下半身剥き出しで横になり、半分失神している少年達しかいない。
屍々累々という表現がふさわしいその光景に、俊樹はひるんだ。
「うん、あたしの仕業。でも、やっぱりイケなくて……ねえ直人、お願いだから相手してよお」
「……仕方ないな」
再び苦笑いする直人に、未緒は飛び付いた。
「あ〜ん、それじゃさっそく」
嬉しそうな声を上げ、未緒は直人の下半身に顔を埋める。
「な、なあ……それ、何なんだ?」
恐る恐る、俊樹が未緒の背中を指差した。
「趣味の悪いコスプレ……か?」
「残念ながら、本物だ」
直人があっさりと言う。
「まあ、実物を見たのは僕も初めてだけど……普段この姿を抑制している反動が色々あって、普段なら様付けする僕の事を呼び捨てにしたし……性格も少々飛ぶらしいね」
未緒は直人の肉棹をねっとりと舐めしゃぶり、乳房を使って扱きたてる。
「一体どういう事だよお……」
情けない声を上げる俊樹に、直人は事実を突き付けてやった。
「この数日、未緒の体からものすごくいい匂いが漂っていなかったかな?」
「香水みたいな……すごくいい匂いがした」
「それは、フェロモンだよ」
「……え?」
「フェロモン。動物が繁殖期になると出す、セックスアピールの匂い」
直人の答に、俊樹は反論する。
「あれ?人間はフェロモンを出さないんだろ?進化の途中で、捨てたんじゃなかったか?」
「割と勉強してるね」
直人は感心した声を上げてから、続ける。
「ま、人間は確かにフェロモンを捨てたよ。あくまでも人間は、ね」
「……どういう事だ?」
「未緒の父親は、人間じゃない。悪魔だ」
「…………はぁ!?」
たっぷり十秒は沈黙してから、俊樹は声を上げた。
「信じる信じないはそっちの勝手だけど、僕は真実を話している。未緒の父親は大昔から聖職者をおとしめてきた悪魔の末裔、淫魔の一員だ。だいたい、普通の人間に羽根が生えてくるような遺伝子が発現するとでも?」
直人は気持ちよさげに羽ばたいているものを指し示す。
「そうよ……私、普通の人間じゃないわ」
鈴口から溢れてくる先走りを啜り取った未緒は、そう呟いた。
「気が付いたね?」
直人が微笑むと未緒は恥ずかしげに目を伏せ……目の前でそそり立つ肉棒にぎょっとする。
「ん……あむ……」
しかしすぐに目を潤ませ、未緒は肉棒にむしゃぶりつく。
「未緒。一度イクから飲んだ方がいい」
「ふぁひ」
口いっぱいに直人を頬張ったままで、未緒は返事をした。
そして、直人をイカせるべく動きを速める。
直人はすぐに、未緒の口の中で弾けた。
「っ……む、ふ……んおっ、む……」
大量に口の中へ溢れたものを丁寧に嚥下し、未緒は舌なめずりをする。
「んふ、久しぶり……あ、ん、おいし……」
最後の一滴まで飲み干すと、未緒は肉棒へ愛しげに頬擦りした。
「さて、と……落ち着いたかな」
直人は屈み込み、未緒に微笑みかける。
「……?」
ぱしんっ!
次の瞬間、未緒の頬が鳴った。
「きゃっ!」
「今のは僕に心配をかけた罰」
「あ……」
赤くなった頬を押さえて、未緒がうなだれる。
「ものがものだからこっちからの連絡を控えていたのに、遠慮するなんてどういう事だい?おかげでしなくてもいい心配をして……二度と、こんな真似はしないで欲しい」
「ごめん、なさい……」
「……本当に、心配したんだからね」
こつんと額をぶつけると、直人はため息をついた。
「ひどい事にならなくて、よかった……」