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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【波乱、のち○○】〜遊輝は愚か者!?〜-2

「エリカ〜、なんで帰っちゃったの〜?」

俺はリビングからは見えない位置で立ち止まった。

「あっ、ごめ〜ん! ふたり共先に帰ったのかと思って〜〜」

エリカの声。いつもと変わりない声に偽っているのが分かった。
あかねは「え〜そうなの〜?」と言って廊下にいる俺を一瞥する。そしてすぐにエリカに視線を戻す。

「あかね、トイレ行ってくる」

あかねはまた俺を一瞥してからトイレに向かった。
バタン、とトイレのドアが閉まったのを確認して俺はゆっくりとリビングに入る。


「あ、‥‥ごめんね。先帰っちゃって」

エリカは目の辺りを少し赤く腫らしていた。
それでも今は必死に笑顔を繕おうとしている。


「なんで‥‥ウソつくんだ?」

さっきエリカが口にしたことは絶対にウソだ。
ずっと長い間一緒にいたんだ。話し方で分かる。

もちろん、それはあかねだって分かっているはずだ。でも、あかねは追及しなかった。
あかねは全てを理解して、俺に委ねてくれた。俺の“誓い" を無駄にしないために。

それでもエリカには‥‥俺にだけは本当のコトを言ってほしかった。
その想いが俺に言うつもりのなかった言葉を洩らさせる。

「エリカ。‥なんでだよ」

エリカの表情が変わる。俺の一番見たくない表情に。

「約束‥‥」

エリカは小さく呟いて俯いた。

「‥わからなかったの」

かろうじて聞き取れたその言葉の意味が分からず、俺は「え?」と聞き返した。

クッとエリカは顔をあげる。その目から一雫、涙がこぼれ落ちた。

「どうすればよかったの?」
絞り出すような震えた声。エリカはぼんやりと俺を見つめながら言葉を続けた。

「好きな人が‥‥他の女の子とキスしてるトコ‥‥どんな顔で見てればよかったの?」

エリカの目からはポロポロと涙が溢れ続ける。
体を震わせ、泣き出すのを懸命に堪えているエリカを見て、俺は無意識に下唇を噛み締めていた。

「それでも‥‥! ‥笑ってればよかったの? ‥‥‥‥‥‥できないよ! できるわけない‥‥」


――グスッ、グスッ


「苦しくて‥‥悲しくて‥‥また、泣きそうだった‥から‥‥約束、破りたくなかったからぁ‥‥」

エリカは想いの内を吐き出した。
泣きながらも、懸命に明かした秘めていた想い。言い終えると同時にエリカは俯き、声を押し殺して肩を震わせる。


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