投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

想ぃの行方
【青春 恋愛小説】

想ぃの行方の最初へ 想ぃの行方 14 想ぃの行方 16 想ぃの行方の最後へ

想いの行方U-5

「ねぇ、麻衣は何作るの?」

「ん?」

「バレンタイン」


「あぁ」と分かった顔をして、麻衣は雑誌を取り出した。

付箋のしてあるページを開き、にこっと笑って指さす。


「これ!」

「チーズケーキ?」

「そう!速水くん、チョコあんまり好きじゃないらしいから」


はにかみながら口元を緩める麻衣は恋する乙女だ。


「心は何作るの?」

「買う」

「え〜!手作りのがいいって」

「作れないし」

「一緒に作ろうよ!」

「面倒くさい」


その後も麻衣は何度も「一緒に作ろう」と誘ってくれたけど、私は首を横に振るばかりだった。


そんな私に麻衣は「もうッ!」と頬を膨らませた。


作るのが嫌なわけじゃないけど、私のキャラじゃないと思ったから。





――――

矢田の誕生日を二日後に控えた日、やっぱり周りは落ち着きがなかった。

女は材料を買いに行く。

男は女に優しくする。


「潤平くん〜今年は何がいい?」


教室のドアの前で矢田と話しているのは、矢田ファンの女の子たち。


「あー俺、今年は受け取らないよ?」

「えー何で?!」

「何でって…彼女いるし」

「別にいいじゃん」

「いや〜毎年くれるのは嬉しいんだけどさ…」

「私ら潤平くん好きだもん(笑)渡すくらい彼女も怒らないでしょ」


女って本当に怖い。

何より、何の悪意もなく「好き」とか言ってのけるところが…。


何だか居心地が悪くて教室を出た。


恋をすると本当に面倒くさい。


想ぃの行方の最初へ 想ぃの行方 14 想ぃの行方 16 想ぃの行方の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前