投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

桜ひとひら
【ホラー 官能小説】

桜ひとひらの最初へ 桜ひとひら 1 桜ひとひら 3 桜ひとひらの最後へ

桜ひとひら-2

「綺麗だ。まるで朝露を浴びた桜みたいだ」
その様子に興奮した声を上げた主人が、一気に入ってきた。

ズジュジュッ…
(はぁぁん…っ)

一突きで絶頂に達してしまいそうな程に気持ちいい。

さっきの主人の唾液とゼリーが、腰を打ち付ける度にピチャピチャと音を奏でた。

(もっと…もっと…あぁっイイッ)

「気持ちいい?声出していいんだよ?」

更に激しくピストンを繰り返す…ゼリーの中に入っていたフルーツがプチプチと潰れる感触がする。


わざと私の感じやすいスポットを擦られ、いつもなら私は主人の腰にしがみつき、いやらしい声をあげ続けていただろう。…そう、いつもなら。

「愛してる…っ」

もっと早くに聞きたかった。言葉にしなくても分かるなんて、言葉にする程には私を愛してない言い訳だと思っていた。

だから貴方を疑った。

探偵を雇い、貴方を調べた。貴方に愛人が居ると知った。
私は傷付き、半狂乱になって…

「愛してるって言ってくれよ!いつもみたいに…っ」

切なそうな主人の声に、胸がつまる。

(愛してる。)
言えたら楽なのに…

「許してくれよっもう…っ」
(あぁっ…っ…んっ…)
耳たぶを強く噛まれ、快感はより強く体に広がった。
挿入しながら噛まれるのが好きな事、ちゃんと覚えていてくれたの?

「愛してるのはお前だから…だからもう許して…」

ポツポツと、瞼や頬に落ちてくる暖かい水滴。
そう、これは主人の涙…

半狂乱になった私に、主人は土下座した。
馬鹿な事をした。と…
許してくれるなら何でもするから。と…
探偵が周りから聞いた話では、確かに愛人とは遊びだったようだ。

けれど、傷付いた私は主人を許せなかった。
泣きながら、その場にあった農薬を一気に飲み干した。


瞼に落ちた涙が頬を伝って流れて、まるで私が泣いてるみたいに見えるかな?
貴方を許せず馬鹿な事をした私の、後悔の涙に見える?

「もう一度、愛してるって言って…」

(愛してる)

ねぇ、どれだけ言っても、貴方には聞こえないよ。

何故なら私は、
もう、死んでるのだから…


桜ひとひらの最初へ 桜ひとひら 1 桜ひとひら 3 桜ひとひらの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前