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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.4-4

「賭け、しよう」

桜がハーフコートの真ん中辺りに移動しながら言った。丁度、コートに描かれた円の中央である。
「フリースロー。これなら危なくないでしょ」
円の中央には横に半分の線が引いてあり、その線は円を出てゴールポストまで末広がりに引かれていた。そう、今、桜が立っているのはフリースローラインである。
「何を賭けんの?」
矢田がズボンの裾を捲りながら言う。長めのズボン丈は捲らないと危険である。

「……………矢田智春」

シュッ
……ッダァン…ダァン…ダン…
言い終わる前に、桜は両手でセットの位置から綺麗にシュートを放つ。
勿論、完璧なコースを辿ったボールはゴールポストを揺らす事無くネットを通り抜けた。
「…俺?」
矢田はキョトンとした顔で、ボールを拾う桜を見る。桜はいつもより口数は少ないし、表情も堅い。
「なぁ、どうしたんだよ桜ちゃん。いきなり訳解んない事言って」


ぺたぺたと足音を鳴らしながら、桜はまた元の位置に戻る。
俯いた桜。矢田から表情は全く見えない。
矢田は、やっぱり何か怒らせてしまったのでは無いかと杞憂した。

ボスッ
桜が掴んでいたボールを矢田のお腹に押しつけた。
投げるでも無い、渡すでも無い、そんな少し八つ当たり気味な態度に矢田は困惑する。

「腹立つのよ」

ぐりぐりとボールを押しつける桜がぽつりと呟いた。
確かに声には怒りの様子が窺える。
「へらへらしちゃって……腹、立つ、のよッ」
言葉に怒りを込め、ボールを力一杯矢田に押しつけて手を放す。矢田は仕方無くボールを掴み、桜を見つめた。
「………」
桜は俯いたまま床にしゃがむ。矢田との身長差など気にならない程、小さく、ボールの様に丸くなっていた。
喋らない上に、こうも丸くなられたら亀の様だ。
矢田は自分もしゃがみ込み、桜の肩をつんつんと突いた。

「さっくらちゃーん?何したの?お腹痛いの?もしかして生理来ちゃったとか?」
ほとんど女友達と変わらない心配の仕方に、桜は矢田のパワフルなお姉さん達を思い出した。
確か、参観日に綺麗なお姉さんを二人も連れた矢田は、周囲にからかわれて始終困った様子だった。
しかも「智くん」と呼ばれた矢田は、お姉さん達の使い魔の如く、プリンやジュースの調達に走り回っていた。
その時だった。桜は、なんで矢田が女の子に優しいのか、言葉遣いも柔らかいのか、世話好きなのか、そして女の子に詳しいのか、と理解したのだ。

「さーくらちゃーん?」
矢田が俯く桜の顔を、下から見上げる。ショートカットの髪の毛の間から紅く染まった耳が見える。
「うっさい……見んな」
やや鼻声で桜が言う。
「そう言われてもなぁ。大丈夫?保健室、行く?」
「そんなんじゃないッ、もう放っておいてッ」
顔を伏せたまま桜は喚く。矢田はやれやれと言った感じで腰を上げた。
「俺を賭けてどうするつもりだったの?」
矢田は言いながらボールを拾い、フリースローラインに移動した。


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