今は。そしてこれからもずっと・・・-21
白い白い世界。
光が溢れて俺の心を照らす。
ふと、俺は、何者かの気配を感じた。
やけに神々しい光を放ちながら俺の前にたっている。
「悲しみに心奪われ、絶望に心を焼かれ、自らの獣の慟哭に身を任せてしまった哀れな者・・・。」
「お前は誰だ?神…と言う奴か?」
「私は…神ではありません。ただ、そう呼ばれることはあります・・・見る人によって私の姿は変わるのです。」
「で…なんの用なんだ…」
「お前はなぜそうも愛を嫌うのです。」
「愛があるせいで人は悲しむ。愛があるせいで争いが在る。愛は癒し生むというが
それは一握りの人間の私物と化している。だから俺は愛を壊し、否定する。
愛の陰に、悲しむものがいる限り。」
「…」
「あなたが今、蒲乃菜にした事は言わば愛の屈折した形。あなたのやっていた事は愛情の裏返しです。
結局。あなたは愛を否定しながら愛を求めて叫んでいたのです。」
「うるさい!違う!もう俺は愛など!」
「さあ…。罪を認め、償うのです。」
「黙れぇー!!」
ジャーーーーーーーーーーーーーーーーーー
放送の終った後のテレビのように俺の眼は像を結ばなくなる。
そして、俺の身体もばらばらになって消えていくような感覚を受ける。
別に苦はなかった。
そして俺の身体は無へと返されていく。
そして――。
俺の心は、いつか望んだ永遠の世界へと進んでいく。
どこまでも続く地平線。
どっぷりと暮れた夕陽のなか。
静かに蒲乃菜を見つめる僕。
そんな僕に脅える蒲乃菜。
ここは、ふたりだけしかいない。
僕は蒲乃菜に向かって愛を叫びつづけた。
喉が枯れて、声が出なくなっても。
喉が破れて、血が出ても。
ただの肉の塊と果ててしまっても。
―――――――
…僕は求めていたんだ。
…愛を。
…決して得られる事のない愛。
…だから壊そうとしたんだ。
…奪いたかったわけじゃない。
…他の奴にくれてやるのが嫌で壊してやったんだ。
…誰よりも、何よりも、大切な宝物。
…蒲乃菜を。
…この手で。
―――――――
僕は、叫び、求めつづける
蒲乃菜は僕に脅えつづける。
でも僕は叫びつづけるんだ。
僕には、それしか出来ないから。
今は。そして、これからもずっと…
…終…