happiness a rainy day-1
ざー。
昇降口にある下駄箱に到着すると、玄関にあるガラスの向こうには滝のような雨が降っていた。
ちくしょう。朝は雲一つない快晴だったのに。
傘持って来てねーし…。彼女はまだ教室だしなぁ。仕方ねぇ。彼女が傘を持って来てることを信じて、待ってみるか。
■ ■ ■
「お待たせー!! 雨すごいねー」
おぉ。来た来た。
これでやっと帰れる。
「お前さ、傘持って来てるだろ? 一緒に入れてくれ」
「傘なんて持って来てるワケないでしょー。朝は晴れだったんだしさ?」
しまった。彼女は彼女だった。
「……どうすっか」
「……どうしようねぇ」
……。
「……案はないんか?」
「……一つ、ありますねぇ」
む? やっと帰れるかもしれねぇ。
「……それは一体?」
「……濡れて帰る!!」
「あほかっ!!」
期待する俺がバカだったのか…。
それとも期待させるようなことをした彼女がバカだったのか…。
「どうする? 学校に泊まる? それともあたしと濡れて帰る?」
「……うぅ」
窓の外では未だ滝のように降り続ける雨。日もだんだん落ちてきて、空はどんよりネズミ色だ。
止む気配はない。こうなったら……、難はあれど帰るしかない!!
「走って帰るか」
「そうこなくちゃ!!」
意を決して、豪雨の中に飛び込む。体中に雨粒が当たり、ちょっと痛いのと寒さが身体を襲う。
ざあぁぁぁぁ。
「……これヤバくないか!?」
「実は二人で風邪をひいちゃうっていう魂胆が…あはは!!」
「てんめっ…」
「二人っきりで看病お願いしま〜す!!」
「二人とも風邪ひいたら無理だろ!?」
「……あー……」
ぽかーん、と口を開けて立ちすくむ彼女。
「……バカだなお前」
「なっ…バカ言うなぁ!!」
滝のように降っていた雨は、いつしか弱まって、パラパラと小雨程度になっていた。
「とりあえず…雨も弱まったことだし…歩こ?」
舌を出しながら、繋いでいた手に力をいれて俺を引き止める彼女。