〜甘い果実〜-11
「……」
「…私は待ちつづける。そのときまで、今の気持ちが変わることは無い。それとも…リグは、私のことが信じられないのか?」
「だって…」
リグの言葉には力が無い。
「ケインちゃんは…魅力的だから、ボクなんかより素敵な人がきっとほっとかないもん………」
「リグ…」
世間知らずで実験室に篭りっきりでいることの多いリグにとってはいつも不安に想うことがあった。
それは…自分がケインに相応しいかということ。
けれども、どうすれば相応しい女性になれるのか判らない。
だから普段からまとわりつくようにして傍にいたのだ。
そして、今日の一件は彼女にとって自分の思いの丈を全てぶつけるのに丁度良かったのだろう。
あまりにいじましいリグにケインは愛おしさがこみ上げてくるのを堪えきれない。
いつしか、こうまで好意を寄せてくれる彼女に応えたい、そう思うまでになっていた。
「馬鹿なことを言うんじゃない。お前を越える女性なんていないさ」
「だけど…」
まだ何かを言いかけるリグの唇にそっと人差し指をあてがう。
そして、もう一度。唇を重ねてやる。
今度はたっぷりした間を置いてから、囁いた。
「そんなに不安なら…お前を、私のものにしよう。言っておくが、私は決して手放さないぞ」
リグは、幸せそうな顔で頷いた。
「うんっ」