「雨のち虹」第2話「ヒーロー・andブラッククロス」-14
「縁起でもないけど、でもそれを空は実際に体験したんだ‥
そしてさっきの質問だけど、やっぱり君は
犯人を殺したい程憎むと思うよ?
少なくとも俺ならそう思う‥」
「それは、でも‥!」
「確かに、正しくないでもそう思うだろう?人を殺す事は絶対やっちゃいけない事だけどその位の勢いはあると思う‥その分があの
残虐なやり方になったんだ、それに」
「‥それに?」
続きが気になって、
思わず催促してしまった‥みっともないけど
「空は‥簡単に感情に流されたりはしない、あいつは一見フラフラしたいい加減な奴に見えるけど、本質的には責任感の塊みたいな奴だからね
あいつがあんな事をしたのには理由がある」
「…」
「あいつ‥言ってたんだ、あの事件の後にねあの時自分が強ければ家族も、証拠品も奪われずにすんだし
せめて‥自分が黙って寝たふりでもしていれば‥お母さんが死ぬことも無かったって」
私達は何も言えなかった、蛍ちゃんに至っては今までの罪悪感からか若干震えている様にみえる
「あいつは、憎しみと奪われた物に報いる為に逆襲し、
証拠品を奪われた責任を取るために市長を
捕まえた‥それだけの事だよ」
佐々垣先輩の拳が強く握りしめられるのが見えた
「それに、どちらにしたって犯人は命があるだけマシじゃない?
空が感情的な人間なら殺されてもおかしくない位の罪を犯したんだからさ、」
宗先輩が喋り終わると各々の心が交差して
深い深い
沈黙が訪れた
『ブラッククロス』
ここは秘密の場所
僕は今一人でいる。
初対面の人と触れ合いすぎたせいで
疲れがたまり、体がふらついたので部室から逃げてきたのだ
昔から人に触れられるのが苦手で
今はマシになったが
人混みが嫌いだ
今日は人に囲まれていたので少し体が重い
「はぁ‥疲れたなぁ」
元々僕は、
賑やか好きな反面
時々一人の空間に行かないと気がすまなかった。
寂しいのは嫌いなのに…
心ってのは難しいもんだ
だからといって
普段はこんなに酷くない
三人の後輩が部室に来て賑やかで嬉しかったのも事実だ
なのに、突然一人に
なりたい衝動に襲われて今に至る
原因は分かってる