「雨のち虹」第2話「ヒーロー・andブラッククロス」-13
「空は何も悪くなんてない!
変なんかじゃない!!空の事、よく知りもしないのに‥勝手な事言わないで!!」
「でも、合世先輩の
過去ならちゃんと‥」
蛍ちゃんはさすがに
気が引けたみたいで
控えめに抵抗しているしかし
もちろん天音先輩には通用しない‥
「でも、空の気持ちは全然分かってないよ
空は優しいから‥!
もう誰も傷つかないように‥
自分と同じ思いをしないように‥
そう思ってる!
ここだってそうだよ!悩んでる人に力を貸したいからって‥
そうする事で自分も
救われるからって
そういって頑張ってるんだよ‥!」
先輩は泣きじゃくっている。
「そう‥だったんですか‥」
私達は完全に先輩達の絆の深さに圧倒されていた‥
「私が辛い時、空はいつも手を差し伸べてくれたもん!だから‥」
「…空を悪く言わないで!」
天音先輩はうずくまって、泣きながらそう呟いている
「天音先輩‥」
私達が心配で見つめていると、横から
佐々垣先輩が割って入った
「彼女は昔、丁度空が事件を起こした位に‥辛い事があってね、
そして空に助けられた‥だから、今は彼女はほっておいてあげて、彼女にとっては自分のトラウマをえぐる事にもなるんだ」
彼女も壮絶な過去があったんだ
「ごめんなさい‥!」
蛍ちゃんも罪悪感に
耐えられなかった様で‥素直に謝っている
「いやいや!いいんだよ‥!それだけ友達を大切に思ってるんだよね?正直感動したよ!でもね‥」
佐々垣先輩は笑顔から真顔に戻って続ける
なんだか、表情がせわしない人だ‥
「俺は‥空がやったことは社会的には悪い事だとは思うけど、
その行動は、人間としては変ではないと思うんだ‥」
「なんでですか?」
蛍ちゃんが若干強気に戻って答える。
逆にここまできたら
完全なひき時を見失ってしまったのだろう
「もし‥
君の目の前で大切な人が…
この場合なら、例えばすずめちゃんが
発狂したストーカーに目の前で刺し殺されたら君はどう思う?」
「そ‥そんな事言わないで下さい!縁起でもない!」
確かに縁起でもないが佐々垣先輩が何を伝えたいかは‥何となく
わかった気がした