俺らの明日-3
『君たちですか?通報したのは?』
「はい、そうです。」
「あれがその変質者です。」
『ぎゃーははは、げほ、げほ、ぎゃーははは。』
「あそこでむせてるおっさんです。」
「同じ一般ピーポーとして恥ずかしいです。」
「お前、それはいくらなんでも失礼だよ。」
『わかった。君たちはここにいなさい。』
「言われなくてもそうするけどな。」
「君子危うきに近寄らずだな。」
「調子こいてんじゃねーよ。」
「うるせー。」
『ちょっといいですか?』
『あん?なんだあんたら。駅員か?』
「なんで駅員が道のど真ん中にいるんだよ。」
「警察官を駅員とまちがえるやつ初めて見たよ。」
「今思ったんだけどさ、あのおっさん一歩引いて見ると結構おもしれーな。」
「ああ、クラスに一人は欲しいな。」
「なんでだよ。太もも肉離れ起こして笑ってるやつなんかいらねーよ。」
「なあ、今思ったんだけどさ、あのおっさん変質者じゃなくてただの酔っ払いなんじゃねーの?」
「何で?」
「ほら。」
『うぉええーーー。』
『うわーーー。』
「これでもかってくらい吐いてるな。」
「な。」
「俺さ、ガキのころ警察官になるのが夢だったんだけどさ、あれ見ると止めようと思うよ。」
「そのほうがいいよ。ガキが憧れる警察官なんざ所詮テレビの中の世界だよ。」
「どうする?警察の人達に悪いことしたな。」
「いいじゃん。税金払ってんのは俺らなんだから。」
「俺らはまだ払ってないよ。」
「消費税払ってるじゃん。」
「あ、なるほど。」
「まぁ、その金も親が稼いだ金だけどな。」
「じゃあ駄目じゃん。」
「俺らも事情聴取とか受けんのかな?」
「めんどいな。明日学校だし。」
「ずらかるか。」
「そうしようぜ。」
『うげぇぇーーー』
「まだ吐いてるよ、あのおっさん。」
「行こうぜ。」
「ああ。」
〜病院編〜
「おい、聞いたか?」
「何をだよ?」
「内容を言え、内容を。」
「賢治が事故ったんだよ。」
「!?おいおいマジかよ。」
「机の上に花は・・・無いから死んではないみたいだな。」
「じゃあいいや。」
「そうだな。」
「おいおい。」
「冗談だよ。」
「で、何で事故ったんだ?」
「両手放し運転の練習してたら横から来た車にブレーキが間に合わなくて轢かれたんだと。」
「馬鹿じゃん。」
「いや、馬鹿以下だよ。馬と鹿がかわいそうだ。」
「じゃあ何だ?」
「バクテリア?」
「・・・やっぱりバクテリアが可哀想だ。」
「じゃあ何だ?」
「ダイオキシンでいいんじゃね?」
「それ採用。」
「もはや生き物ですらないけどな。」
「そんでどんくらいの怪我なんだよ。」
「全治二週間だって。」
「何で車に轢かれて二週間で済むんだよ。」
「何か医者いわく奇跡らしい。」
「神様もあんな馬鹿に奇跡起こすんだったらもっと違うところで起こせよ。」