無銭湯記スパゲッチュー 〜復路〜-9
第29話 『暗躍の鼓動』
悪者のボスが言った。
「魔物を使って町を襲うのも余り捗(はかど)ら無い様だな」
すると手下の一人が言う。
「ヒーッ! 申し訳ありません! どうやら町のやつら、強力な魔道士をやとったらしく我々では歯がたちません!!」
そんな手下の言い訳に頭を抱えながら、ボスは大声で叫ぶ。
「ゲーボック! ゲーボックは居(お)るか!!」
すると、何やら怪しげな魔道士が、暗闇の影から現れたではないか。
そして魔道士は言う。
「お任せ下さい。ギルド系の魔道士など、我が暗黒魔道力の前では赤子の手を捻る様なもの、敵ではありませんぞ」
自信たっぷりに言い張る悪の魔道士。
そんな彼の言葉に、悪党のボスも勝ち誇ったかのように、笑って居た。
そのころ俺とフィリスは町の酒場に居たりする。
人々の噂話が耳に入って来た。
「また魔物が出たってさ、なんでも若い旅芸人の夫婦が退治したらしいぜ」
酒場に居た客の一人がそんな事を言い出すと。
「ほうっ! そいつは大したもんだなぁ!!」
別の客もひとしきりに感心する。
そんな話を耳にして、俺は飲んでた酒を口から吹き出しそうになっていた。
すると、俺のそんな姿を見て、フィリスが言いやがる。
「世の中には、献身な方も居ますのね。ユグンも少し見習った方がいいですわよ」
俺は突然に立ち上がって、叫んだ!
「おやじー! 酒おかわり!! 樽で持って来てくれ!!」
つづく