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無銭湯記スパゲッチュー
【ファンタジー その他小説】

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無銭湯記スパゲッチュー 〜復路〜-10

第30話 『ピーンチ! かも……』
 お呼びで無いのに、暗黒邪道士が現れたりする。
「お前達など、我が暗黒魔道の敵ではないわっ!」
 恐らく敵であろう、自身を『暗黒邪道士』と名乗るその魔道士は、間髪居れずに俺たちに襲い掛かってきやがった。
 俺達は邪道士の魔法攻撃を食らい、呪われてしまった。
「駄目だ! かっ身体が動かない!!」
 俺は金縛りに合って動けない。
「いやぁ〜あん! 身体が動かなーい!!」
 レイモンドの奴も同じである。


「ハハハッ! ガキどもがぁ、これで終わりだっ! 特に魔道士の女、ギルドごとき子供騙しな魔法で、この私の邪道力に刃向かおうなどとは、おこがましいも甚(はなは)だしい! 1万年早いっちゅーの! ガッハッハッハァ!!」
 そう言って邪道士の男は俺たちに止めを刺そうと、詰め寄って来る。
 すると言いたい放題言われっ放しでついに切れたらしい、フィリスが。
「むかつきますことぉ! サンダーボルトー!!」
 魔法で邪道士を攻撃したりもするが。
「無駄無駄無駄ぁ! 全然効かぬわぁ! ハッハッハッハァ! ……あれ?!」
 次の瞬間、邪道士は、
「ばっばかなー! 強すぎるーーーぅ!!」
 粉々に成って吹き飛び、カスも残らなかった。


 邪道士を倒し、俺はフィリスに尋ねて聞いた。
「お前…… 敵の魔法食らって何とも無いのか?」
 するとフィリス。
「呪われたおかげで、魔力が押さえられたのが良い具合でしたわよ」
”これだ!”
 俺は閃いていた。そして。
「どこのどなたか知らないが、ありがとう」
 俺は、自らを犠牲にして貴重な実験データをくれた、邪道士とやらに、心底感謝していた。

 つづく


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