無銭湯記スパゲッチュー 〜復路〜-11
第31話 『奪取でダッシュ』
「キャスター?」
それは初めて見る、黒い魔法石だった。
噂では、あらゆる魔法力を吸収してしまうらしい、魔道士も触るのを嫌がる代物だそうだ。
レイモンドは自慢げに言った。
「えへぇんだ! これ取って来るの大変だったんだからねぇ」
「へぇー、やるじゃないか」
一応、俺はレイモンドを誉めもする。
「後はこれを、天才じじい博士の所へもっていけばいいのね」
レイモンドの言葉に、これでやっとフィリスもまともな魔道士に成れるだろうと、俺もホッと一息入れる。
すると丁度そこへ、フィリスが駆け込んで来たではないか。
「ねえ聞きました! 博物館から国宝とも言われていた『黒魔石』が盗まれたらしいですわよ!!」
俺はレイモンドとフィリスに向かって、怒鳴るように言った。
「急いで旅のしたくをしろ! いいっ行くぞ!!」
どうやらしばらくこの町にも、戻れないだろう。
つづく