『 インタビュー 』-3
「しかし歴史は……。そんなやらせがまかり通れば、本物の歴史はどうなる!」
私は激しいめまいを必死でこらえて叫んだ。
信長はそんな私を、救いようがない、という目で見ると吐き捨てるように言った。
「あんた、その目で見ても聞いてもいないものを、どうして信じられる?」
「あんたは現実と虚構を、どうやって区別するんだ。今まで教わってきた歴史が、全部やらせじゃないとどうして言える!」
足元の畳が持ち上がると、逃走用の地下通路が現れた。
小姓の何人かはもう階段を下り始めている。
「信長様、時間がありません!」
信長は先に行けと手で合図すると、どこかあざけるような、寂しそうな声で続けた。
「それに、この本能寺の変という大事件を見ている、この時代の僧や町人が、我々よりもっと未来から来た、ただの観客だと、時々思うことがある……」
「信長様、この者どもをどういたしましょう?」
最後に残った小姓が心配そうに言った。
信長は、今までの雰囲気とはうってかわった胴間声で叫んだ。
「戦場にいくばくの骸が増えようと誰が気にすると言うのかぁ!」
第六天魔王・信長を演じる男は、小姓が差す脇差しを引き抜くと、私の頭めがけて一気に振り下ろした……。
End