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ふぉあしー
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ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-7

「駆!どうしたの?大丈夫?」

突然膝をつき、こめかみに手をあてている俺に咲姫先輩が心配そうに声をかける。

「大丈夫です…」

そう言いながらゆっくり立ち上がる。

「もしかして『視た』の?」
「ああ…」

何度も俺が『視る』のを目にしてきた恵にはすぐに分かったようだ。

「恵、頼みがある。聞いてくれるか?」
「いいけど、何?」
「ピンクの熊の着ぐるみを着た奴を探してほしい!理由は後で話す!」
「へ?ピンク?熊?駆、そんなのに会いた…」
「頼む!時間がないんだ!」
「えっ、あ…うん。分かった…」

俺の鬼気迫る表情を見て、恵は訳が分からないという顔をしながらも了承してくれた。

「見つけたらすぐに携帯に電話してくれ。それから咲姫先輩も手伝ってもらえますか?」
「うん、いいけど…」
「ありがとうございます!あ、それと見つけても絶対に近付かないで下さい。危険ですから」


二人は俺をその場に残して熊の着ぐるみを探しに行った。
『未来』の空の色から推察するに、あと30分足らずしか猶予はない。
それまでに二人から連絡が来るのをじっと待つより他に仕方がない。
こんな時に何もできない自分に腹が立つ。
何もできないまま時は無情にも過ぎてゆく。
20分程たった時、突然ポケットの中から今の俺の気持ちに全くそぐわない「天国と地獄」のメロディーが流れだした。
咲姫先輩からだ。

「もしもし」
『あ、駆?ピンクの熊見つけたよ〜』
「場所はどこです?」
『メリーゴーランドの前で子供達に風船を配ってるよ』
「分かりました。すぐに行きます」
『ねぇ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?理由』
「…分かりました…先輩にも恵にもあまり聞かせたくはなかったんですが…」

ここまできたら話すしかない。

「『因果』によると今から約10分後に熊の着ぐるみを着た男がサブマシンガンで子供達を虐殺するようです」
『えっ……嘘…でしょ?』
「そう言えたらどんなにいいか…」
『…………』
「時間がないからもう切ります。また後で」

ピッ…

俺は携帯をジーンズのポケットに突っ込んで走りだした。
惨劇を止めるために…



男は子供達に風船を配りながら待っていた。
空が血のように赤く染まるのを。
男は着ぐるみの中に仕込んだサブマシンガンに触れながら夢想していた。
茜の空に映える子供の鮮血の美しさを。
そして遂に機は訪れた…


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