嫉妬少女2-2
翌朝、いつもの電車に乗り込む。
徐々に混雑し始め、あっと言う間に満員。
だけど…、不思議と今日は触られない。
いつもいつも昨日のように過激な目に逢うわけじゃないけど、まいにちそれなりに触られていたのに…。
ま、そういう日もあるんだわ。
ドア付近にいたあたしはぼーっと外を眺めながら、揺られていた。
外はよく晴れて清々しい。
ピクニック行きたくなっちゃうな…。
おにぎり食べたいなぁ〜なんて考えていると、どこかからか女の声が聞こえてきた。
「…ぁ…ん」
あたしは一気にその声を聞き取ることに神経を集中させた。
こういう時の人間の集中力っていうか、鋭さはすごいものがある。
「んぁ…んっ、ぁっあ…」
まわりを見渡せる範囲で探してみる。
あっ!!
三人先くらいの距離に女の子の顔が見えた。
眉根を寄せ、唇をかみしめている女の子。
あれは、昨日の…。
あたしにそっぽ向けた子だ!
「っ…ぁ…やめて…いや…」
女の子は必死に抵抗しているが、満員なので無駄に終わっている。
かわいそーにねぇ…。
あたしは同情したが、微妙に離れていては助けるすべもなく、仕方なくまた窓の外を見ようと視線を外そうとした。
その時、苦悶の表情の女の子の口角がくいっと吊り上がった。
それは、にやっ…と不適な笑みに見えた。
瞳はあたしに向けられた。
そのまま女の子を見つめ続けていると、さらにその唇がゆっくりと動く。
“アタシノカチネ”
あたしの勝ちね?!
昨日の態度と相まって、あたしはカッと頭にきた。
何なのよ、何なのよあの子!
ムカつく!
そのままにらみつけた。
「ぁ…やっ…やぁ…っ」
窮屈ながらも女の子は身をよじって拒絶している。
何をされているのだろう。
いつもならあたしがそこでそうなっているのに…。
悔しかった。
痴漢さんたちは、あの子を標的にかえたんだ。
あたしは負けたの?
女の子は嫌がる表情に感じている雰囲気を混ぜはじめた。
そばにいる男にしなだれかかり、表情からは徐々に嫌悪が消えていく…。
「…はぁ…はぁぁ…あ…ぁん…っ」
なぜか目が離せない。
あたしのカラダも、熱く疼いてしまう。
あぁ!誰か…。
「あっは、ぁ…!あぁ〜…っ!!」
女の子はビクッビクッと揺れ…イッてしまったようだった。
下車駅に着き、あたしはさっさと降りて改札に向かった。
女の子と顔をあわせたくなかった。
勝ち誇られるに決まってるからだ。
突然、肩を抱かれて引っ張られた。
驚いて声もでない。
そのままトイレの個室に押し込まれた。
なにがなんだかわからなかった。