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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【新春】〜波乱を招く入学式!?〜-1

肌に心地よい風、ちょ〜〜どいい気温、美しく色付く桜……
うん、やっぱ春は最高だ!

「いってきま〜〜す!」
サラサラの髪をなびかせ、遊輝は走り出した。
行き先は…まぁ言わなくても分かるだろう


いつものようにガチャッ!と勢いよくドアを開けると遊輝は大きな声を上げる。

「エリカ〜!行くぞ〜〜!」
するとリビングから「待って〜」と返事が返ってきた。
遊輝は靴を脱いで中に上がる。

「エリカ、遅刻するぞ―?」
「――!だめ!入らないで!」
「あっ・・・」

エリカはスカートを穿いていなかった。
水色の下着が遊輝の目に映る。

一瞬固まった遊輝だが、すぐにグルンっと後ろを向いた。
遊輝は頭が真っ白になり、なんの弁解もできずに黙っている。

遊輝の後ろでファスナーを上げる音が聞こえた。


「……ユキ。」
「はいっ」
「いいよ、こっち向いてもっ。」
「………」
遊輝はゆっくり体を回す。エリカは膝上のスカートの裾を両手で掴んでいる。


「見た?」
「……見ました」

お互い顔が真っ赤だ。
エリカはハァ〜と溜め息をつく。

「まぁ…あたしがモタモタしてたのも悪いから…」
「ごめん…」
遊輝が謝るとエリカはパッと笑顔になった。

「なによ〜、パンツくらい!ほら、学校行くぞっ!」
エリカはそう言うと遊輝の頭を軽くはたいた。

遊輝もエリカの笑顔につられるように笑った。




「──あれっ? あかねとあや姉は?」
遊輝は家を出てしばらく歩いた所でそのふたりがいなかったことに気付いた。それほどさっきは動揺していたのだろう。

「ん―、『こういう日は絶対に遅刻しちゃいけないんだ』って遊輝が来る5分くらい前に車で行っちゃったよ。」

「あっ、そっか。そういえば去年の俺達もそうだったな」

「…ふぁぁん……」
欠伸混じりに返事するエリカ。遊輝はその顔をなんの気なしに見た。

目に涙を浮かべトロンとした表情のエリカと目が合う。遊輝はドキっとして目をそらした。

「あれ、どしたの? 顔、赤いよ?」
「な、なんでもない。」
「ふぅ〜〜ん」

遊輝の顔を覗き込むエリカ。遊輝は耐えきれずに走り出した。

「えっ、なんで!? …も〜、待ってよ〜〜!」
エリカも走り出す。

立ち止まって振り返った遊輝はいつもの笑顔だった。


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