かっちゃん-3
「永尾さん……どがんしたと?」
「好きやけん…私、かっちゃんが好きやけんさ。なんか…なんか悲しかさね…」
私はかっちゃんが好きだ
この時は伝えたってもう遅いと思っていた
だけどね…後々思えば、すごくいい思い出だった…
何も言えずに終わりたくなかった
そして、陸上部みんなにとって、最後の大会の日が来た…
この大会が終わったら、かっちゃんはいなくなってしまう…
色んな想いを胸に、私は使い慣れた靴を履いて走り始めた
結果は惨敗だった。
汗でにじんだハチマキを握りしめて
私は泣いた
色んな想いが詰まったボロボロの靴を抱きしめた
私の夏は終わった
その時、5000mの決勝を控えたかっちゃんが、私の所に来た。
「頑張ったばいね…」
私はさらにボロボロと涙があふれてきた
「うん…。でも、ダメだった。」
私がそう言うと、かっちゃんは私が握りしめていたハチマキを強引に奪いとって、自分の頭にキツく巻きつけた。
「オイがカタキばとっちゃぁけん、永尾さん、見とってな。永尾さんの分まで一位になるけん!見とってな!!」
かっちゃんはそういってコンクリートの陸上競技場の階段をゆっくりと降りていった。
ありがとうって言いたかった…
夕方の3時25分、佐賀県の陸上競技場で、最後のピストルが鳴り響いた
かっちゃんは走り出した。
私のハチマキを頭にまいて