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かっちゃん
【青春 恋愛小説】

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かっちゃん-2

ある日、私は泣いていた。テストの時、カンニングなんてしていないのに、先生に疑われたからだ。まだ治らない足におもいっきり筆箱を打ちつけたりして、悔しさを紛らわしていた。そんな時、かっちゃんが私の隣の席に来てさ


「そがんことしよったら、足が治りにくくなるばい。悔しかとは分かるばってんさ、オイは永尾さんが走るとこば早く見たかけん、落ちついてくれんね。」


って言ってくれた。周りはヒューヒューとか言って冷やかしたんだけど、私にとってその言葉が嬉しくて、ただ嬉しくてさ…気付かれないように笑ったんだ。


それからかな…


私はかっちゃんに恋をした


たまにね彼にタイムを言う時に、ちょっとサバ読んで言ったりしてた。


中学最後の夏、私達陸上部にとって最後の大会がそろそろ始まる…


大会の前日のことだった…


私の足はもう完治し、最後の大会に向けて毎日必死に走っていた


私は、今日も練習が終わった後に学校の自動販売機の横でスポーツドリンクを飲んでいた。


「永尾さん…ちょっと、よかかな?」


「えっ、わっ!か、かっちゃん!!」


私はビックリした。その自動販売機の上にかっちゃんがずっと座っていたことに気付かなかった。


「オイね、この夏大会の終わったら、オヤジの都合で北海道に引っ越すさね。」


「えっ!!」


私は頭の中が真っ白になった。

かっちゃん…


「それって…、転校するってこと?」


かっちゃんはうなずいた。


「みんなには黙って行くばってん、永尾さんには伝えておきたかった。永尾さん、オイの最後の走りば絶対見てくんしゃい。」


かっちゃんはいつもより優しい声で言った。

私は急にうずくまり、無意識のうちに涙を流していた。


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